大文字の送り火
昭和初期のガイド文
盂蘭盆会の行事でもと7月16日に行われましたが、現在は8月16日に改められました。伝説によると、往昔この山麓にあった浄土寺が火災に罹った時、その本尊阿弥陀如来がこの峰頭に飛び上がって大光明を放ったから、以後盂蘭盆会の精霊送火をするごとに、この光明に似せて山上に火を点すこととなり、いつしかさらに大の文字にあらためたといいます。現在の大字は足利義政が相国寺の僧横川景三に託して復旧させたものだといいます。大の文字を現すには、山の西北部に75か所の孔すなわち水床を穿ち、その距離を約3.5mとし、約80cmの材を井桁に組んで火床に置き、午後8時頃、一斉に発火するので、火炎赤々とし字画が整然として現れ、一大奇観となります。長さは第一画が73m、第二画が146m、第三画が124mあります。この域内は芝山として樹木を生育させていません。
同夜点災される大北山の左大文字、水尾山の鳥居、大黒天山の妙法、西賀茂の船形は現在おおむね絶滅に近い状態です。
令和に見に行くなら
- 名称
- 大文字の送り火
- かな
- だいもんじのおくりび
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 京都府京都市左京区浄土寺七廻り町
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
盂蘭盆會の行事でもと七月十六日に行つたが、今は八月十六日に改めた。傳說によると、往昔この山麓にあつた淨土寺が火災に罹つた時、その本尊阿彌陀如來がこの峰頭に飛び上つて大光明を放つたから、爾後盂蘭盆會の精靈送火をなす每に、この光明に象つて山上に火を點ずることゝなり、いつしか更に大の文字に更めたと云ふ。今存する大字は足利義政が相國寺の僧橫川景三に託して復舊させたものだと云ふ。大の文字を現はすには、山の西北部に點々七十五箇所の孔卽ち水床を穿ち、その距離を約三米半とし、約八〇糎の材を井桁に組んで火床に置き、午後八時頃、一齊に發火するので、火焰灼赫字畫整然として現はれ、一大奇觀である。長さは第一畫が七三米、第二畫が一四六米、第三畫が一二四米ある。この域內は芝山として樹木を生育せしめない。
同夜點災される大北山の左大文字、水尾山の鳥居、大黑天山の妙法、西賀茂の船形は現今槪ね絕滅に近い。
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