金地院

金地院
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

南禅寺の塔頭で南禅寺中門の西南にあります。室町時代の応永年中(1394~1428年)大業和尚の開基となり、文禄慶長の頃崇伝によって中興され、その方丈は江戸時代前期の慶長16年(1611年)伏見桃山城の遺物を移したものです。境内に八窓の茶室があり、その庭園とともに小堀遠州の作と伝えています。

方丈[国宝] 桁行十一間、梁間七間、単層、屋根は入母屋造杮葺で、棟高く、屋根の流れは急で外観の非常に豪壮な建築です。柱は方柱を建て前面および左側面には広椽があり、広椽と落椽との境界には敷居を設け明障子を建てています。内部は禅宗の方丈に共通の形式で上中下の3区に分かれています。中区の奥に仏壇があります。各室の襖障子には金地に極彩色の華麗な装飾画が描かれています。狩野派画家の描いたもので桃山式気分の溢れた佳作にして狩野元信、探幽、尚信、雪信等の筆と伝えています。

なお庭園の後の丘上には東照宮があります。金地院の管理に属し、社殿の形式は権現造で拝殿は黒塗、本殿は朱塗、桝組には極彩色を施した江戸時代の建築です。

  • 宝物
  • 林道春および五山衆試文稿[国宝] 六曲屏風 一双 紙本墨書、慶長19年(1614年)
  • 濃比須般国への返書案[国宝] 一幅 紙本墨書、崇伝筆
  • 本光国師日記[国宝] 紙本墨書 四十六冊
  • 異国日記[国宝] 紙本墨書 二冊
  • 異国渡海御朱印帳、異国近年御書草案[国宝] 紙本墨書 一冊
  • 異国日記御記録雑記[国宝] 紙本墨書 一冊
  • 次の宝物は京都博物館出陳
  • 秋景雪景山水図[国宝] 絹本著色 伝徽宗皇帝筆 二幅
  • 山水図[国宝] 紙本墨画 伝明光筆 一幅
  • 山水図[国宝] 絹本墨画 伝高然喗筆 二幅
※底本:『日本案内記 近畿篇 上(初版)』昭和7年(1932年)発行

令和に見に行くなら

名称
金地院
かな
こんちいん
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
京都府京都市左京区南禅寺福地町86-12
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

南禪寺の塔頭で南禪寺中門の西南にある。應永年中大業和尙の開基にかゝり、文祿慶長の頃崇傳によつて中興され、その方丈は慶長十六年伏見桃山城の遺物を移したものである。境內に八窓の茶室があり、その庭園と共に小堀遠州の作と傳へて居る。

方丈[國寶] 桁行十一閒、梁閒七閒、單層、屋根は入母屋造杮葺で、棟高く、屋根の流れ急にして外觀の頗る豪壯な建築である。柱は方柱を建て前面及左側面には廣椽があり、廣椽と落椽との界には敷居を設け明障子を建てゝ居る。內部は禪宗の方丈に通有な形式で上中下の三區に分れて居る。中區の奧に佛壇がある。各室の襖障子には金地に極彩色の華麗な裝飾畫が描かれて居る。狩野派畫家の描いたもので桃山式氣分の溢れた佳作にして狩野元信、探幽、尙信、雪信等の筆と傳へて居る。

尙庭園の後の丘上には東照宮がある。金地院の管理に屬し、社殿の形式は權現造で拜殿は黑塗、本殿は朱塗、桝組には極彩色を施せる江戶時代の建築である。

  • 寶物
  • 林道春及五山衆試文稿[國寶] 六曲屏風 一雙 紙本墨書、慶長十九年
  • 濃比須般國への返書案[國寶] 一幅 紙本墨書、崇傳筆
  • 本光國師日記[國寶] 紙本墨書 四十六册
  • 異國日記[國寶] 紙本墨書 二册
  • 異國渡海御朱印帳、異國近年御書草案[國寶] 紙本墨書 一册
  • 異國日記御記錄雜記[國寶] 紙本墨書 一册
  • 左記寶物は京都博物館出陳
  • 秋景雪景山水圖[國寶] 絹本著色 傳徽宗皇帝筆 二幅
  • 山水圖[國寶] 紙本墨畫 傳明光筆 一幅
  • 山水圖[國寶] 絹本墨畫 傳高然喗筆 二幅

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