嵐山
嵐山
昭和初期のガイド文
山陰本線嵯峨、または嵐山電車嵐山、京阪電車嵐山下車、自動車の便もあります。海抜375mに過ぎませんが、その名は高く世に聞え、北麓を流れる大堰川とあいまって、自然美の優秀なことで知られています。古来紅葉の名所として歌われていましたが、亀山院の時、吉野山の名種を移植されてから、山中到るところに桜を見、花の名所ともなりました。紅葉も花も鬱蒼とした松に映えて景趣が特に深いものです。この山の森林は風致国有保安林で、その面積59ヘクタール余です。嵐山峡は現在指定の名勝です。山中に戸難瀬滝、大悲閣、夢窓国師の座禅石、香西又六古城址などがあります。
戸難瀬滝は嵐山の北麓、櫟谷の西にあって、一条の渓流が岩石を伝わって落下し、大堰川に落ちています。古くはこの大堰川を戸難瀬といいました。
※底本:『日本案内記 近畿篇 上(初版)』昭和7年(1932年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 嵐山
- かな
- あらしやま
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 京都府京都市右京区
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
山陰本線嵯峨、または嵐山電車嵐山、京阪電車嵐山下車、自動車の便もある。海拔三七五米に過ぎないが、その名は高く世に聞え、北麓を流れる大堰川と相俟つて、自然美の優秀なので知られて居る。古來紅葉の名所として歌はれて居たが、龜山院の時、吉野山の名種を移植せられてから、山中到る所に櫻樹を見、花の名所ともなつた。紅葉も花も鬱蒼たる翠松と反映して景趣が殊に深い。この山の森林は風致國有保安林で、その面積五九ヘクタール餘である。嵐山峽は今指定の名勝である。山中に戶難瀨瀧、大悲閣、夢窓國師の座禪石、香西又六古城址等がある。
戶難瀨瀧は嵐山の北麓 櫟谷の西にあつて、一條の溪流が岩石を傳はつて落下し、大堰川に落つる。古はこの大堰川を戶難瀨といつた。