高山寺

栂尾高山寺[眞言宗御室派]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

槙尾西明寺の北東約0.5km、梅畑高尾町清滝川に臨む景勝の地にあり、高尾、槙尾とともに三尾と呼ばれ、紅葉の名勝として、世に知られています。

この寺は、はじめ天台宗に属していましたが、鎌倉時代の建永年間(1206~1207年)明恵上人が再興して華厳修行の道場となし、堂塔を修築し、高山寺と改めて以来世に知られるようになりました。現在古建築には鎌倉時代の石水院があるのみです。

石水院[国宝] もと賀茂にあった後鳥羽院の御学問所石水院を貞応3年(1224年)に御下賜になったものといいます。堂は桁行五間、梁間右側三間左側四間、単層屋根は入母屋造杮葺です。正面に一間の向拝を付し、周囲に廻橡をめぐらし、柱はいずれも方柱にして大面をとり、軒廻りはいずれも舟肘木を用い、蟇股の形状も非常に優美で鎌倉時代の風格を残しています。内部は寝殿造の形式で、中央三間一面を身舎とし、周囲一間通を廂の間となし、身舎は左右二室に分かれています。天井は合掌形をした板天井で非常に珍らしい。全体としてはよく鎌倉初期寝殿造の形式を残す貴重な遺構です。

  • 宝物
  • 次の宝物はいずれも京都博物館出陳
  • 戯画[国宝] 伝鳥羽僧正筆、紙本水墨 四巻
  • 将軍塚絵巻[国宝] 伝鳥羽僧正筆、紙本水墨 一巻
  • 不空三蔵像[国宝] 絹本著色 一幅
  • 仏眼仏母像[国宝] 明恵上人賛 絹本著色 一幅
  • 華厳縁起[国宝] 紙本著色 六巻
  • 菩薩像[国宝] 寺伝弥勒菩薩像、絹本著色 一幅
  • 文殊菩薩像[国宝] 絹本著色 一幅
  • 薬師如来坐像[国宝] 乾漆 一体
  • 冥報記[国宝] 唐の唐臨撰、紙本墨書 三巻
  • 玉篇[国宝] 紙背に明恵上人の書画あり 紙本墨書 一巻
  • 篆隷万象名義[国宝] 紙本墨書 六冊
  • 弥勒上生経[国宝] 石川年足筆 紙本墨書 一巻
※底本:『日本案内記 近畿篇 上(初版)』昭和7年(1932年)発行

令和に見に行くなら

名称
高山寺
かな
こうざんじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
京都府京都市右京区梅ヶ畑栂尾町8
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

槇尾西明寺の北東約半粁、梅畑高尾町淸瀧川に臨める景勝の地にあり、高尾、槇尾と共に三尾と稱し、紅葉の勝地として、世に知られて居る。

當寺は、はじめ天臺宗に屬して居たが、建永年閒明惠上人が再興して華嚴修行の道場となし、堂塔を修築し、高山寺と改めて以來世に顯はるゝに至つた。現在古建築には鐮倉時代の石水院あるのみである。

石水院[國寶] もと賀茂にあつた後鳥羽院の御學問所石水院を貞應三年に御下賜になつたものと云ふ。堂は桁行五閒、梁閒右側三閒左側四閒、單層屋根は入母屋造杮葺である。正面に一閒の向拜を附し、周圍に廻橡をめぐらし、柱は何れも方柱にして大面をとり、軒廻りは何れも舟肘木を用ゐ、蟇股の形狀も頗る優美で鐮倉時代の風格を存して居る。內部は寢殿造の形式で、中央三閒一面を身舍とし、周圍一閒通を廂の閒となし、身舍は左右二室に別れて居る。天井は合掌形をなせる板天井で甚だ珍らしい。全體としてはよく鐮倉初期寢殿造の形式を存する貴重な遺構である。

  • 寶物
  • 左記寶物は何れも京都博物館出陳
  • 戲畫[國寶] 傳鳥羽僧正筆、紙本水墨 四卷
  • 將軍塚繪卷[國寶] 傳鳥羽僧正筆、紙本水墨 一卷
  • 不空三藏像[國寶] 絹本著色 一幅
  • 佛眼佛母像[國寶] 明惠上人贊 絹本著色 一幅
  • 華嚴緣起[國寶] 紙本著色 六卷
  • 菩薩像[國寶] 寺傳彌勒菩薩像、絹本著色 一幅
  • 文殊菩薩像[國寶] 絹本著色 一幅
  • 藥師如來坐像[國寶] 乾漆 一軀
  • 冥報記[國寶] 唐の唐臨撰、紙本墨書 三卷
  • 玉篇[國寶] 紙背に明惠上人の書畫あり 紙本墨書 一卷
  • 篆隸萬象名義[國寶] 紙本墨書 六册
  • 彌勒上生經[國寶] 石川年足筆 紙本墨書 一卷

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