松尾大社

松尾神社[官幣大社]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

京阪電車嵐山線松尾前下車、松尾町山麓景勝の地にあります。飛鳥時代の大宝元年(701年)秦都理の創建で、大山咋神および市杵島姫命が祀られています。奈良時代の延暦年中(782~806年)京都の守護神とされ、古来朝野の尊信厚く、平安時代の寛弘元年(1004年)の行幸以来、朝廷の松尾行幸は数度におよんでいます。民間では特に造酒の神とされ醸造家の参拝が非常に多く、境内に酒造家の献灯が少なくありません。本殿は檜皮葺で三間社流造、室町時代の天文19年(1550年)の建築です。現在宝物になっている男女の神像三体は国宝に指定され、京都博物館に出陳されていますが、日本の神像彫刻の遺品のなかで最古のものに属し、平安時代の作です。

4月の神幸祭、5月の還幸祭は古来葵祭と呼ばれ、洛西第一の祭事とされ、神殿その他に葵を飾り、供奉の者もまた葵を飾ることは賀茂祭に似ていて、神輿の桂川渡御を見るため参詣者が集まります。また7月に行われる御田植祭は、山城における最古風の祭礼です。

※底本:『日本案内記 近畿篇 上(初版)』昭和7年(1932年)発行
松尾神社

令和に見に行くなら

名称
松尾大社
かな
まつのおたいしゃ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
京都府京都市西京区嵐山宮町3
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

京阪電車嵐山線松尾前下車、松尾町山麓景勝の地にある。大寶元年秦都理の創建で、大山咋神及市杵島姬命が祀られて居る。延曆年中京都の守護神とされ、古來朝野の尊信厚く、寬弘元年の行幸以來歷朝松尾行幸は數度に及んで居る。民閒特に造酒の神と稱して釀造家の報賽頗る多く、境內に酒造家の獻燈が少くない。本殿は檜皮葺で三閒社流造、天文十九年の建築である。今寶物になつて居る男女の神像三軀は國寶に指定され、京都博物館に出陳されて居るが、我が國神像彫刻の遺品中最古のものに屬し、平安時代の作である。

四月の神幸祭、五月の還幸祭は古來葵祭と稱へ、洛西第一の祭事とされ、神殿その他に葵を飾り、供奉のものもまた葵を飾ること賀茂祭に似て居り、神輿の桂川渡御を拜するため參詣者が雲集する。また七月に行はるゝ御田植祭は、山城に於ける最古風の祭禮である。

洛西・嵐山のみどころ