春光院の南蛮寺銅鐘
春光院南蠻寺銅鐘[國寶]
昭和初期のガイド文
妙心寺の塔頭、春光院の本堂にあります。高さ77cm、口径55cm、イエズス会の徽章と、安土桃山時代の西暦1577年(天正5年)の鋳出銘があります。徽章は周囲に光波を現した太陽形の中央にイエスの略字IHS、その上には十字架、またその下には三本の釘を現して十字架にかけられたキリストを表象しています。キリスト教は天文年間(1532~1555年)イエズス会創立者の一人であったフランシスコ・ザビエルによって初めて日本へ伝えられ、その後間もなく多数の信者を集め、山口、豊後の府内等に教会堂が建設されるようになり、京都では天正4年に南蛮寺が落成しました。すなわちこの銅鐘はキリスト教が禁制される前、京都において盛んであった当時の遺物です。
※底本:『日本案内記 近畿篇 上(初版)』昭和7年(1932年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 春光院の南蛮寺銅鐘
- かな
- しゅんこういんのなんばんじどうしょう
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 備考
- 坐禅体験にあわせて文化財が鑑賞できるプランがあります。
- 住所
- 京都府京都市右京区花園妙心寺町42
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
妙心寺の塔頭、春光院の本堂にある、高さ二尺三分、口徑一尺四寸五分、耶蘇敎會の徽章と、西曆一五七七年(天正五年)の鑄出銘がある。徽章は周圍に光波を現はした太陽形の中央にイエスの略字IHS、その上には十字架、またその下には三本の釘を現はして十字架にかけられた耶蘇を表象して居る。耶蘇敎は天文年閒耶蘇會創立者の一人であつたフランシスコ・ザビエルに依つて始めて我が國へ傳へられ、その後閒もなく多數の信者を生じ、山口、豐後の府內等に敎會堂の建設を見るに至り、京都では天正四年に南蠻寺が落成した。卽ちこの銅鐘は耶蘇敎が禁制される前、京都に於て盛んであつた當時の遺物である。