芥屋の大門

芥屋の大門
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

筑肥線前原駅の西北約12km、芥屋村の海岸大門岬にあり、付近まで自動車の便があります。大門岬は花崗岩を通じて噴出する玄武岩からなり、直立73m弱に達し、東北西の3面が海に臨み、わずかに南のみ陸に通じています。玄武岩は柱状節理がよく発達し、多少の板状節理を伴い、石柱はおおむね六角であるが、五角あるいは四角のものもあり、長さは20~30mが普通で、最も長いものは54.5mにおよび、横径は普通30cmほどです。

岬の東北面は怒濤のために侵蝕されて、海蝕洞を呈し、大門と呼ばれています。洞門は幅約18m、高さ約9m、ここから20mほどの間幅は次第に縮まって7mあまりとなり、そこから急に縮迫して幅約2.7mの廊下状の洞窟となっています。奥は深くて暗くなっていますが、洞口から約73mの間は波が穏やかな日には、小舟で入ることができるといいます。大門の東に小洞窟があって神風窟あるいは鯨穴と呼ばれ、幅約5.5m、深さはこれと同じです。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行
芥屋の大門

令和に見に行くなら

名称
芥屋の大門
かな
けやのおおと
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
福岡県糸島市志摩芥屋520
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

筑肥線前原驛の西北約一二粁、芥屋村の海岸大門岬にあり、附近まで自動車の便がある。大門岬は花崗岩を通じて噴出せる玄武岩より成り、直立七三米弱に達し、東北西の三面海に臨み、僅に南方の一綫地帶を以て陸に通じて居る。玄武岩は柱狀節理よく發達し、多少の板狀節理を伴なひ、石柱は槪ね六角であるが、五角或は四角のものも少からず、長さは十數閒を普通とするが、最も長いものは五四米半に及び、橫徑は普通三〇糎內外である。

岬の東北面は怒濤のために侵蝕されて、海蝕洞を呈し、大門と呼ばれて居る。洞門は幅約一八米、高さ約九米、これより十餘閒の閒幅は次第に縮まつて七米餘となり、それより急に縮迫して幅約二米七の廊下樣の洞窟となる。奧は深くて暗いが、洞口から約七三米の閒は海波靜穩なる日には、小舟を容れることが出來ると云ふ。大門の東方に小洞窟があつて神風窟或は鯨穴と呼ばれ、幅約五米半、深さはこれに等しい。

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