千如寺大悲王院(雷山観音)

大悲王院(雷觀世音)[眞言宗御室派]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

筑肥線前原駅の南8km、糸島郡雷山村雷山にあり、途中まで自動車の便があります。聖武天皇の御宇に清賀上人がこの山に寺を建て雷音寺と名付けたというものが後に改称して千如寺となり、隆盛でしたがその後に堂宇が退転して現在のようになりました。観音堂に安置されている千手千眼観世音菩薩立像[国宝]は浦賀上人作と伝わる木造で、高さ5mの巨像で、舟形の光背をもち、光背の全面に千手を現しています。藤原時代の作ですが後世の修理を経ています。別に清賀上人坐像[国宝]があります。木造で高さ87cmあまり、身に法衣を着け突姿を纏い、口を少し開いて歯を露わし、方形の台座の上に坐しています。鎌倉時代の製作で、胎内に江戸時代後期の明和年間(1764~1772年)の修理銘があります。寺宝には古文書が多く、70通あまり12巻を保存しています。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行

令和に見に行くなら

名称
千如寺大悲王院(雷山観音)
かな
せんにょじだいひおういん(らいざんかんのん)
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
福岡県糸島市雷山626
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

筑肥線前原驛の南八粁、絲島郡雷山村雷山にあり、途中まで自動車の便がある。聖武天皇の御宇に淸賀上人この山に寺を建て雷音寺と稱したと云ふが後、改稱して千如寺となり隆盛であつたがその後諸坊退轉して現時の如くなつた。觀音堂に安置せられる、千手千眼觀世音菩薩立像[國寶]は浦賀上人作と傳へる木造高さ一丈五尺の巨像で、舟形の光背を有し、光背の全面に千手を現はして居る。藤原時代の作であるが後世の修理を經て居る。別に淸賀上人坐像[國寶]がある。木造高さ二尺三寸餘、身に法衣を着け突姿を纏ひ、口を少しく開いて齒を露はし、方形の臺座の上に坐して居る、鐮倉時代の製作にかゝり、胎內に明和年閒の修理銘がある。寺寶には古文書多く、七十餘通十二卷を保存して居る。

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