長垂の含紅雲母ペグマタイト岩脈

長垂の含紅雲母ペグマタイト岩脈[指定天然記念物]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

筑肥線長垂駅下車、糸島郡今宿村青木字長垂山にあります。海抜119mの長垂山を中心とし、博多湾に臨む約200m²の地に黒雲母花崗岩および古生層を貫いて各種の花崗質岩脈が露出しています。含紅雲母ペグマタイト岩脈はその主なもので、石英、微斜長石、加里雲母の巨晶と紅雲母柘榴石、磁鉄鉱、ベリル、スピネル(セイロナイト)、トパーズ等の微晶とからなり、縞状構造を見せています。紅雲母は加里雲母とともに産し、淡紫紅色の美麗な鱗状結晶群となっていることから、古来該鉱物、産地として名高く、近年分析の結果、リチウムのほか、ルビジウム、セシウムのような稀有な元素をも含有することが発見され、いっそう有名になりました。またセイロナイトは含鉄スネルの一種として、その産出が稀なものです。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行

令和に見に行くなら

名称
長垂の含紅雲母ペグマタイト岩脈
かな
ながたれのがんこううんぼぺぐまたいとがんみゃく
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
福岡県福岡市西区今宿青木1111-6
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

筑肥線長垂驛下車、絲島郡今宿村靑木字長垂山にある。海拔一一九米の長垂山を中心とし、博多灣に臨める約二〇〇方米の地に黑雲母花崗岩及古生層を貫きて諸種の花崗質岩脈が露出して居る。含紅雲母ペグマタイト岩脈はその主なるものにして、石英、微斜長石、加里雲母の巨晶と紅雲母柘榴石、磁鐵鑛、ベリル、スピネル(セイロナイト)、トパーツ等の微晶とより成り、縞狀構造を呈する。紅雲母は加里雲母と共に產し、淡紫紅色の美麗なる鱗狀結晶群をなせるを以て、古來該鑛物、產地として名高く、近年分析の結果、リシウムの外、ルビヂウム、セシウムの如き稀有元素をも含有することを發見せられ、一層著名となつた。またセイロナイトは含鐵スネルの一種として、その產出が稀である。

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