六角堂(頂法寺)

六角堂(頂法寺)[天臺宗]

昭和初期のガイド文

市電烏丸三条下車、六角通烏丸東にあり、その仏堂の構造が六稜形をしているので六角堂と通称されるお寺です。現在の堂宇は明治10年(1877年)の再建で本尊如意輪観音を安置しています。本堂の後方に池の坊があります。室町時代の永正年間(1504~1521年)当坊の十二世専慶は幼少時から立花を好み、常に空山幽渓を跋渉して自然趣向を探求し大いに体得し、後花を折り瓶に挿して姿態入神の趣を発明しました。その後二十六世尊順はさらにその奥底を啓いて代々その家に伝えました。文化14年(1817年)仙洞御所に立花を献じ、以来御即位、立后の大礼ある毎に献花するのが通例となり、今なお池ノ坊流の家元として花技を伝えています。

※底本:『日本案内記 近畿篇 上(初版)』昭和7年(1932年)発行

令和に見に行くなら

名称
六角堂(頂法寺)
かな
ろっかくどう(ちょうほうじ)
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
京都府京都市中京区六角通東洞院西入堂之前町248
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

市電烏丸三條下車、六角通烏丸東にあり、その佛堂の構造が六稜形をなして居るので六角堂と通稱するのである。現今の堂宇は明治十年の再建で本尊如意輪觀音を安置して居る。本堂の後方に池の坊がある。永正年閒當坊の十二世專慶は幼より立花を好み、常に空山幽溪を跋涉して自然趣向を探求し大いに體得し、後花を折り甁に插んで姿態入神の趣を發明した。その後二十六世尊順は更にその奧底を啓いて代々その家に傳へた。文化十四年仙洞御所に立花を獻じ、爾來御卽位立后の大禮ある每に獻花するの例となり、今尙依然として池ノ坊流の家元として花技を傳へて居る。

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