神泉苑

神泉苑
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

市電堀川御池下車、御池通大宮西入ルにあります。平安京造営の際大内裏の東南に接し、二条の南、三条の北、大宮の西、壬生の東にわたって南北四町東西二町の地域に築かれた林泉です。乾臨閣を正殿とし法成就池という大池を穿ち、仮山を築き、岩石をたたみ、亭樹を構え、竜舟を浮べ、画橋を架し、もって天子遊覧のところとされ、桓武天皇の時代、平安時代の延暦19年(800年)の御遊以来歴代の天皇も種々の御遊がありました。鎌倉時代に入ってこの禁苑も大きく頽廃しましたが、かろうじて消滅を免れ、現在では東西6m南北8mほどの小池を残し、池中の小島には竜王祠があって善女竜王を祀り、そばに弁財天を祀ってあります。5月15日から10日間池の東の空地で大念仏狂言が行われます。現在神泉苑は俗に「御池」と呼ばれます。

※底本:『日本案内記 近畿篇 上(初版)』昭和7年(1932年)発行
神泉苑

令和に見に行くなら

名称
神泉苑
かな
しんせんえん
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
京都府京都市中京区御池通神泉苑町東入ル門前町166
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

市電堀川御池下車、御池通大宮西入ルにある。平安京造營の際大內裏の東南に接し、二條の南、三條の北、大宮の西、壬生の東に亘つて南北四町東西二町の地域に築かれた林泉である。乾臨閣を正殿とし法成就池と云ふ大池を穿ち、假山を築き、岩石をたゝみ、亭樹を構へ、龍舟を浮べ、畫橋を架し、以て天子遊覽の所となし給ひ、桓武天皇延曆十九年の御遊以來歷代の天皇も種々の御遊があつた。鐮倉時代に及びこの禁苑も頗る頽廢したが、辛じて泯滅を免れ、現在では東西六米南北八米餘に小池を存し、池中の小島には龍王祠があつて善女龍王を祀り、傍に辨財天を祀つてある。五月十五日から十日閒池の東の空地で大念佛狂言が行はれる。神泉苑は今通俗「御池」と呼ぶ。

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