古今伝授の間
古今傳授の閒
昭和初期のガイド文
成趣園の池畔、緑濃いところにある清楚な純日本風の茅屋です。関ヶ原の戦いの際丹後の田辺城にあって、大阪方の小野木重勝と戦っていた細川幽斎は、当時和歌国文の道に通じる第一人者でしたが、勅命によって京都の桂宮の御茶屋において皇弟智仁親王に対し、親しく古今集の奥義を伝授されました。その時の茶室を古今伝授の間と呼び、明治初年特に肥後藩に賜ったものです。300年前の遺物で、現在も室内に当時の有名な書画、古器の類が飾られています。付近に名物水前寺苔、水前寺餅などの売店、休憩所が多いところです。
※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 古今伝授の間
- かな
- こきんでんじゅのま
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 熊本県熊本市中央区水前寺公園8-1
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
成趣園の池畔、綠蔭濃きところにある淸楚な純日本風の茅屋である。關ケ原大戰の際丹後の田邊城にあつて、大阪方の小野木重勝と戰つて居つた細川幽齋は、當時和歌國文の道に通ずる第一人者であつたが、敕命によつて京都の桂宮の御茶屋に於て皇弟智仁親王に對し、親しく古今集の奧義を傳授された。その時の茶室を古今傳授の閒と稱へ、明治初年特に肥後藩に賜はつたものである。三百年前の遺物で、今も室內に當時の有名な書畫、古器の類が飾られて居る。附近に名物水前寺苔、水前寺餠などの賣店、休憩所が多い。