下賀茂温泉
賀茂溫泉
昭和初期のガイド文
下田町の西南10km、自動車の便があり、青野川の沿岸の至るところが湯煙で霞み、現在掘削した源泉は40か所以上におよび、宝の湯、高島の湯などは噴泉9mの高さにおよんでいます。泉質はそれぞれ多少の差違はありますが、強食塩泉に属し、温度100度におよぶものもあり、塩味が強く弱アルカリ性で、リウマチ、皮膚病、痔疾、婦人病などに効くといいます。付近には手石の弥陀窟、石室権現、蓑掛島などの名所があります。旅館は福田屋、八幡屋、鈴木屋、北海楼ほか4軒。妻良、子浦は温泉の西12km、ともに風景がよく海水浴に適したところで、賀茂から自動車の便があります。子浦には江戸時代末期の文久年間(1861~1864年)徳川将軍家茂が滞在した西林寺があります。
※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 下賀茂温泉
- かな
- しもがもおんせん
- 種別
- 温泉
- 状態
- 現存し見学できる
- 備考
- 現在「下賀茂温泉」と呼ばれますが、当時は賀茂温泉との呼称でした。あるいは少しエリアが違うのでしょうか?
- 住所
- 静岡県賀茂郡南伊豆町
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
下田町の西南一〇粁、自動車の便あり、靑野川の沿岸至るところ湯煙霞み、現在鑿泉四十餘ケ所に及び、寶の湯、高島の湯などは噴泉九米(三十尺)の高さに及んで居る。泉質は各泉多少の差違はあれど、强食鹽泉に屬し、溫度攝氏百度以上に及ぶものあり、鹹味劇しく弱アルカリ性反應を呈し、リウマチス、皮膚病、痔疾、婦人病などに效くと云ふ。附近には手石の彌陀窟、石室權現、蓑掛島などの名所がある。旅館福田屋、八幡屋、鈴木屋、北海樓外四軒。妻良、子浦は溫泉の西一二粁、共に風景に富み海水浴に適し賀茂から自動車の便がある。子浦には文久年閒德川將軍家茂の假泊した西林寺がある。