長谷寺の阿弥陀像
長谷寺阿彌陀像
昭和初期のガイド文
下田町の西約5km、朝日村田牛長谷寺の本尊です。木造、高さ約90cmの坐像で、表情は極めて円満、衣のひだを表現した線も流麗です。伊豆南部の外洋に臨む漁村にこのような藤原末期の彫像があるのは実に不思議なことで、寺伝に平安時代の治承年間(1177~1181年)に海上から漂着したとあるのも面白いものです。江戸時代中期の元禄年中(1688~1704年)の雑な修理で原形を損なった部分もありますが、なお形態や衣に藤原時代特有の風格を残しています。
※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 長谷寺の阿弥陀像
- かな
- ちょうこくじのあみだぞう
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 静岡県下田市田牛156
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
下田町の西約五粁、朝日村田牛長谷寺の本尊である。木造、高さ約九〇糎(三尺)の坐像で、形相極めて圓滿、褶襞を現せる線も流麗である。豆南外洋に臨む一漁村にかゝる藤原末期の彫像のあるのは實に不思議なことであつて、寺傳に治承年閒に海上から漂着したと云ふのも面白い。元祿年中の粗略な修理で原形を損した部分もあるが、尙形態衣文に藤原時代特有の風格を存して居る。