日枝神社

日枝神社[縣社]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

市内三枚橋駅の東約1.5km、電車の便があります。平安時代の創建と伝わり、大山祇命を祀ります。社宝には山王霊験記絵巻があります。紙本著色、金截箔散し、長さ約7m、幅約36cm、鎌倉時代の弘安11年(1288年)の奥書があり現在国宝に指定されています。この絵巻物は堀河天皇の平安時代の嘉保2年(1095年)、美濃守源義綱と延暦寺衆徒との間に争いが生じた際、日吉神社の神威が大いに現れたため、関白藤原師通の北政所がおそれをなし、駿河国大岡庄を寄進して陳謝したという顛末を描写したものです。世に山王霊験記絵巻と呼ばれるものはたくさん残っていますが、ここの絵巻は最も古く、また社地は古の大岡庄に属しています。絵は土佐派に属し鎌倉時代の古態を残し、古神道および日本絵画史の参考として貴重な資料です。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
日枝神社
かな
ひえじんじゃ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
静岡県沼津市平町7-24
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

市內三枚橋驛の東方約一粁半、電車の便がある。平安時代の創建と傳へ、大山祇命を祀る。社寶には山王靈驗記繪卷がある。紙本著色、金截箔散し、長約七米(二三尺)幅約三六糎(一尺二寸)弘安十一年の奧書を有し今國寶に指定されて居る。この繪卷物は堀河天皇の嘉保二年、美濃守源義綱と延曆寺衆徒との閒に葛藤を起した時、日吉神社の神威大に現はれたので、關白藤原師通の北政所いたく恐をなし、駿河國大岡庄を寄進して陳謝せしことの顛末を描寫したものである。世に山王靈驗記繪卷と稱するものは往往殘つて居るが、當社の繪卷は最も古く、また社地は古の大岡庄に屬して居る。繪は土佐派に屬し鐮倉時代の古態を存し、古神道及日本繪畫史の參考として貴重なる資料である。

三島・伊豆のみどころ