元興寺(極楽坊)

極樂院

昭和初期のガイド文

[真言律宗] 元興寺の北、中院町にあります。十輪院とともにもともと元興寺の子院に属し、智光法師の邸宅跡であったと言われています。かつては極楽坊と呼ばれ、同法師が感得した極楽曼荼羅を安置していました。現在の堂は平安時代の建久年間に西行法師が四方に寄付を募って建立したものと伝えられています。

本堂[国宝] 桁行6間、梁間6間の正方形の堂で、単層、屋根は四方に傾斜した形式です。屋根は特殊な重ね瓦で葺いた、いわゆる行基葺で、板蟇股、須弥壇など鎌倉時代の特徴を示し、全体的に雄大な造りとなっています。内陣東北隅の柱には「沽却家地新訴券文事」という文言と、鎌倉時代の文永2年(1265年)3月22日の刻字が残されています。

禅堂[国宝] 本堂に接して建てられ、桁行4間、梁間5間、単層で切妻造りの屋根、本瓦葺です。奈良時代の天平時代の古い建築に、鎌倉時代初期の大規模な修繕を施したものと考えられます。妻の二重虹梁蟇股や小屋内に見られる桝組には天平時代の様式が残されています。寺伝では鎌倉時代の建長年間に西行法師が修営したと言われ、智光法師の住居であったと伝えられています。

  • 宝物
  • 阿弥陀如来坐像[国宝]木造 1躯 本尊で、上品下生来迎の印を結んだ漆箔像で、高さ約1.6メートル、平安時代初期の作です。
  • 五重塔[国宝]木造 1基 元興寺の塔婆の雛形と伝えられています。奈良帝室博物館に出展されています。
※底本:『日本案内記 近畿篇 下(初版)』昭和8年(1933年)発行

令和に見に行くなら

名称
元興寺(極楽坊)
かな
がんごうじ(ごくらくぼう)
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
奈良県奈良市中院町11
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

[眞言律宗] 元興寺の北、中院町にある。十輪院と共にもと元興寺の子院に屬し、智光法師の宅址であつたと云ひ、極樂坊と稱し同法師感得の極樂曼茶羅を安置したが、今の堂は建久年間西行法師四方に勸財して造立したものであると云ふ。

本堂[國寶] 桁行六間、梁間六間の正方形の堂で單層、屋根四注造、屋根は特殊の重ね瓦で葺いた所謂行基葺で、板蟇股、須彌壇等鎌倉時代の特徵を示し、全體雄拔である。內陣東北隅の柱に沽却家地新訴劵文事云云文永二年乙丑三月廿二日の刻字が遺つて居る。

禪堂[國寶] 本堂に接し建てられ、桁行四間、梁間五間、單層屋根切妻造、本瓦葺、天平時代の古建築に、鎌倉初期大修繕を施したものと思はれ、妻の二重虹梁蟇股や小屋内に見られる桝組は天平時代の樣式のものが遺つて居る。寺傳建長年間西行法師の修營と云ひ、智光法師の住房であつたと傳へて居る。

  • 寶物
  • 阿彌陀如來坐像[國寶]木造 一軀 本尊で、上品下生來迎の印を結んだ漆箔像で高五尺二寸六分、藤原時代初期の作である。
  • 五重塔[國寶]木造 一基 元興寺塔婆の雛形と傳へる。奈良帝室博物館出陳。

奈良駅周辺のみどころ