頭塔

頭塔
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

[指定史跡] 駅の東約2km、高畑町にあります。街路の北裏側に位置し、台地に築かれた方形の封土で、三段に築かれています。下段は土壇で、その上は先端が欠けた四角錐状の二段の低い塚となっています。各段には仏像を浅く彫刻した大小の石が計13個あり、封土の各面の中央に階段状に配置されています。南側には登り口があり、石段のようなものが2か所ほど残っています。西面中央の石仏は阿弥陀三尊ですが、他は詳細が不明確です。中尊はいずれも座像で、左右の脇侍には座っているもの、立っているもの、半跏のものなどがあります。中尊の頭上には宝相華模様の天蓋があるものもあり、脇侍の頭上には飛雲が揺らめいているように表現されているものもあります。また、その下には童子が讃嘆したり花盤を捧げたりしている様子や、破風を上げ風鐸を下げた重層または単層の宝楼閣を背後に表現したものなどがあります。また三尊仏以外の像には、周囲を化仏に囲まれた座像、火炎仏に童子が花籠を捧げているもの、宝樹の下で結跏趺坐している様子を表したものなどがあります。西面の阿弥陀三尊石仏の北にある一石は、線で金棺出現あるいは涅槃像を表現したものです。これらの石仏には彩色の朱色が所々に残っているものがあります。石仏は様式および図様から奈良時代のものと推定され、また封土の上層からは細い縄文や布目の瓦の破片が発見され、奈良時代の様式を持つ巴瓦の破片も出土しています。この塔は古くから僧玄昉の頭を葬った場所と言われ、頭塔の名で呼ばれていますが、四方仏を配置した土塔です。

※底本:『日本案内記 近畿篇 下(初版)』昭和8年(1933年)発行
頭塔石仏

令和に見に行くなら

名称
頭塔
かな
ずとう
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
奈良県奈良市高畑町921
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

[指定史蹟] 驛の東約二粁、高畑町にある。街路の北裏にあたり、臺地に築かれた方形の封土で三段に築かれ、下段は土壇でその上は尖頂を缺いた方錐狀二段の低い塚と成つて居る。各段に佛像を薄肉に彫刻した大小の石、總數十三個を、封土各面の中央に階段的に配列したものである。南側には登り口があつて、石段の如きものが二箇所ばかり遺つて居る。西面中央の石佛は阿彌陁三尊であるが、他は充分明でない。中尊は何れも坐像で左右脇侍には坐せるもの、立てるもの、半跏のもの等あり、中尊の頭上には寶相花模樣の天蓋あるものあり、脇侍の頭上に飛雲の搖曳するを表はしたるものあり、またその下に童子の讃嘆し或は華盤を捧げたもの、或は鵄尾をあげ風鐸を垂れた重層または單層の寶樓閣を背後に現はしたもの等あり、また三尊佛以外の像には周圍を化佛に取まかれた坐像、火焔佛に童子の華籠を捧ぐるもの、寶樹下に趺坐するを表はしたもの等がある。また西面彌陁三尊石佛の北にある一石は線筋で金棺出現或は涅槃像を表はしたものである。これ等の石佛には彩色の朱色が所々に遺つて居るものがある。石佛は樣式及び圖樣の上から奈良時代のものと推定され得るもので、また封土の上層から往々細繩紋或は布目の瓦破片が發見せられ、奈良時代の樣式を有する巴瓦破片を出土して居る。この塔は古來僧玄昉の頭を葬つた處と云ひ、頭塔の名を以て呼ばれたが、四方佛を配した土塔である。

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