伝香寺

傳香寺
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

[律宗] 奈良駅から東へ約500メートル、小川町にあります。もともとは「実圓寺」と呼ばれ、宝亀年間(奈良時代、770年~781年)に鑑真和尚の弟子・思托律師が開いた寺院です。その後、天正2年(安土桃山時代、1574年)に筒井順慶の母である芳秀英禅尼の本願により、ここに寺が建立されました。唐招提寺の泉弉律師を招いて住職とし、以来筒井氏の菩提寺として栄えました。

本堂[国宝] 桁行三間、梁間三間の単層建築で、四注造(寄棟造)の本瓦葺き屋根が特徴です。天正13年(安土桃山時代、1585年)5月5日に再建されたことが棟札から確認されています。軒下には繁垂木や蟇股、手挾の絵様彫刻が施され、当時の建築様式を色濃く残しています。

  • 宝物
  • 地蔵菩薩立像[国宝]木造1体 全身が裸形の像で、右手に錫杖、左手に宝珠を持つ姿が印象的です。鎌倉時代の作品で、普段は実物の衣を着せて安置されています。ただし台座は後世に補修されたものです。
  • 聖観音立像[国宝]木造1体 藤原時代(平安時代)の初期に作られた貴重な仏像です。
※底本:『日本案内記 近畿篇 下(初版)』昭和8年(1933年)発行

令和に見に行くなら

名称
伝香寺
かな
でんこうじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
奈良県奈良市小川町24
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

[律宗] 驛の東半粁、小川町にある。初め實圓寺と稱し、寶龜年間鑑眞和尙の弟子思托律師の開創にかゝり、その後天正二年、筒井順慶の母芳秀英禪尼の本願によつてこゝに一寺を起し、唐招提寺の泉弉律師を請じて住せしめ、爾來筒井氏の香華寺となつた。

本堂[國寶] 桁行三間梁間三間、單層、屋根四注造、本瓦葺で、天正十三年五月五日再建立の棟札あり、軒一重繁垂木、蟇股、手挾等の繪樣彫刻によく當時の特質を存して居る。

  • 寶物
  • 地藏菩薩立像[國寶]木造 一軀 全身裸形の像で右手に錫杖、左手に寶珠を捧げて居る鎌倉時代の作である。常には實物の衣を着けて居るが臺座は後補である。
  • 聖觀音立像[國寶]木造 一軀 藤原時代初期の作である。

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