滝坂の石仏群
瀧坂の石佛群
昭和初期のガイド文
駅の東約4キロメートル、石切峠付近にあります。このあたり一帯は滝坂と呼ばれ、カエデの名所となっていますが、石仏群が各所に存在し、平安時代末期から鎌倉時代の遺作も少なくありません。石仏群の最初のものは寝仏と呼ばれ、大日如来像が転落して横たわっているもので、この上方には磨崖仏が多数存在しています。ここから東へ数百メートル進むと、高さ約4メートルの大岩石の中央に朝日観音と呼ばれる三尊仏の浅浮き彫りがあります。各像には年号と作者の銘文がありますが、多くは摩滅しており、中尊の銘文「于時文永ニ年十二月日大施主□□」(鎌倉時代の文永2年、1265年)の陰刻がやや明確に読み取れます。ここからさらに進み、古い杉が鬱蒼と茂った中に地蔵石像のある辺りから、道の南に分かれる小道をたどれば約1.5キロメートルで地獄谷石窟仏に、本道を進めば約0.5キロメートル余りで春日山石窟仏に到達します。
※底本:『日本案内記 近畿篇 下(初版)』昭和8年(1933年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 滝坂の石仏群
- かな
- たきさかのせきぶつぐん
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 奈良県奈良市
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
驛の東約四粁、石切峠附近にあり。このあたり一帶瀧坂と汎稱し、楓樹の勝地をなして居るが、石佛群各所に存し藤原、鎌倉時代の遺作も尠からず、石佛群の最初のものは寢佛と稱し、大日如來像の轉落して横はるもので、この上方に磨崖佛が多數に存して居る。これより東數百米で高さ約四米の大岩石の中央に朝日觀音と稱する三尊佛の薄肉彫がある。各軀に年號作者の銘文があるが多くは磨滅して、中尊の銘文「于時文永貳年十二月日大施主□□」の陰刻が稍々明瞭に讀まれる。これより進みて老杉森々として茂つたうちに地藏石像の在る邊から、道の南に岐れる小徑をたどれば約一粁半で、地獄谷石窟佛あり、本道を進めば約半粁餘で、春日山石窟佛に達する。
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