木賀温泉

木賀溫泉
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

宮ノ下から西北約1km、自動車の便があります。早雲山の爆発堆積物の東端を占め、早川の流れがそれを洗って急瀬となる渓流美を見せていましたが、水害のために少々その風景を損ないました。フランスの将軍ルボン氏が明治の初年に陸軍教官として来日した頃、特にこの地の風光を好んだので、明治大帝御崩御にあって国使として来日した際にこの地を再訪しましたが、昔を懐かしんであちこち見て歩いたといいます。土地の有志がその記念碑を建てました。

温泉は集塊岩中にある岩脈を伝ってその南側に湧出し、塩類泉で温度45度、皮膚病、胃病、神経諸病、リウマチなどに効くといいます。旅館は宮内。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
木賀温泉
かな
きがおんせん
種別
温泉
状態
現存し見学できる
住所
神奈川県足柄下郡箱根町木賀
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

宮ノ下より西北約一粁、自動車の便がある。早雲山爆發堆積物の東端を占め、早川の流それを洗つて急瀨をなし、溪流美を現して居たが水害の爲に稍々その風致を損した。佛國の將軍ルボン氏が明治の初年陸軍敎官として來朝した頃、特にこの地の風光を好んだので、先年明治大帝御崩御の際國使として來朝の折この地に再遊したが、曾遊を追懷して低徊顧望したと云ふ。土地の有志謀つてその記念碑を建てた。

溫泉は集塊岩中に存する岩脈を傳うてその南側に湧出し、鹽類泉で溫度百十三度、皮膚病、胃病、神經諸病、リウマチスなどに效くと云ふ。旅館 宮內。

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