芦ノ湖

蘆湖
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

箱根山上にあります。火口原沼で西北から東南に延び、中央線は長さ約6.6km、幅は0.5~2km、湖岸線の延長約20km、面積7km²、その水面は海面上723mに位置し、東南岸には塔ヶ島半島がある。湖水は北に自然の吐口があり、早川となり流出するほか、西北岸に人工の沢良川の水道が外輪山湖尻峠の下120mに穿たれています。水深は最大43.5m、水色は四号と五号の間、藍色湖と緑色湖の中間、透明度は夏季16m、湖中に生育する水産動物は箱根サンショウウオ、ナマズ、コイ、アカハラ、ドジョウ、イワナ、アメマス、ウナギ、沼エビ、マスなどです。湖畔の傾斜は西南外輪山側で大きく、東北駒ヶ岳側で緩やかです。湖畔の集落としては東南岸に元箱根、南岸に箱根町があり、その間の街道からは湖水をへだてて富士を望め、はるかにその湖面に映る逆さ富士を見ることができます。湖上には元箱根および箱根町から東北岸の湖尻までの間に遊覧船が通っています。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
芦ノ湖
かな
あしのこ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
神奈川県足柄下郡箱根町元箱根
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

箱根山上にある。火口原沼で西北より東南に延び、中央線は長さ約六粁六 幅は半粁乃至二粁、湖岸線の延長約二〇粁、面積七方粁、その水面は海面上七二三米に位し、東南岸には塔ケ島半島がある。湖水は北に自然の吐口があり、早川となり流出する外、西北岸に人工による澤良川の水道が外輪山湖尻峠の下一二〇米に穿たれて居る。水深は最大四三米半、水色は四號と五號の閒、藍色湖と綠色湖の中閒、透明度は夏季一六米、湖中に生育する水產動物は箱根さんせううを、鯰、鯉、赤腹、鰌、岩魚、あめます、鰻、沼えび、鱒などである。湖畔の傾斜は西南外輪山側に大で、東北駒ケ嶽側に緩である。湖畔の部落としては東南岸に元箱根、南岸に箱根町があり、その閒の街道からは湖水をへだてゝ富士を望むべく、遙にその湖面に映する倒富士を見ることが出來る。湖上には元箱根及箱根町から東北岸の湖尻までの閒遊覽船が通つて居る。

小田原・箱根のみどころ