芦之湯温泉

盧湯溫泉
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

小涌谷から西南5km、自動車の通路で、海抜879m、箱根最高地点の温泉場です。弁天山、宝蔵山、二子山などに囲まれ、夏でも肌寒いほどの幽境となっています。北方一帯の草原は池尻といい、かつては湖の一部でしたが、今はその一角に阿字ヶ池を残し蛇骨川の源となっています。付近には新羅三郎の笛塚、多田満仲の墓と伝わるもの、二十五菩薩、六道地蔵、曽我兄弟の供養塔、虎御前の塔、精進池、薺池などがあり、二子山、駒ヶ岳、神山など中央火口丘にもこの芦之湯から登ることができます。神山登山路には湯ノ花沢があり、もっぱら湯の花を採集しています。

温泉は硫黄泉で温度45度、自動車では芦之湯にまだ至っていないうちに、もう硫気に襲われます。皮膚病に特効あり、リウマチ、花柳病、婦人病などに効くといいます。旅館は松坂屋、紀伊国屋。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
芦之湯温泉
かな
あしのゆおんせん
種別
温泉
状態
現存し見学できる
住所
神奈川県足柄下郡箱根町芦之湯
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

小涌谷より西南五粁、自動車の通路、海拔八七九米箱根最高の溫泉場である。辨天山寶藏山、二子山などに圍繞せられ、盛夏涼氣肌に迫るの幽境である。北方一帶の草原は池尻と云ひ、曾て湖水の末端であつたが、今はその一隅に阿字ケ池を殘し蛇骨川の源をなして居る。附近には新羅三郞の笛塚、多田滿仲の墓と傳ふるもの、二十五菩薩、六道地藏、曾我兄弟の供養塔、虎御前の塔、精進池、薺池などがあり、二子山、駒ケ嶽、神山など中央火口丘にもこの蘆湯から登られる。神山登山路には湯ノ花澤があり、今專ら湯の花を採集して居る。

溫泉は硫黃泉で溫度百十三度、自動車が未だ蘆湯に至らざる內に、既に硫氣に襲はれる。皮膚病に特效あり、リウマチス、花柳病、婦人病などに效くと云ふ。旅舘 松坂屋、紀伊國屋。

小田原・箱根のみどころ