普賢岳紅葉樹林

普賢嶽紅葉樹林[指定天然記念物]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

東雲仙岳の普賢岳を中心として、その外輪山である江丸岳、妙見岳、国見岳の紅葉樹林一帯を包含し、面積約4.56km²にわたります。紅葉の第一展望所は温泉所在地から3.3km弱の仁田峠(海抜1,080m)です。ここから普賢岳の絶頂まで約8km、その間に赤松谷、薊谷、鬼人谷の三大谿谷があって深山性樹木が繁茂し、特に紅葉植物の種類は65種の多さにのぼり、秋には全山燃えるような壮観を呈します。鮮紅色を呈するものにヤマモミジ、テツカエデ、オオイタヤメイゲツ、コハウチワカエデ、ナナカマド、ヤマボウシ、ヤマウルシ、オトコヨウゾメ、シロドウダン、ミヤマキリシマがあり、暗紅色のものに、ムシカリ、ネジキ、リョウブ、ミヤマシグレ、紫紅色に、オオコマユミ、コバノミツバツツジ、ダイセンミツバツツジがあり、柑色または黄色に、ツクバネウツギ、シラキ、ケクロモジ、イヌザンショウ、カナクギノキ、赤褐色に、コバノガマズミ、ノリウツギ、クマノミヅキがあります。

草本のオカトラノオ(紅色)、ヤマノイモ(帯黄白色)、ゼンマイ(淡褐色)も美観を添えています。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行

令和に見に行くなら

名称
普賢岳紅葉樹林
かな
ふげんだけこうようじゅりん
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
長崎県雲仙市小浜町雲仙
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

東雲仙嶽の普賢嶽を中心として、その外輪山たる江丸嶽、妙見嶽、國見嶽の紅葉樹林一帶を包含し、面積約四五六クタールに亙る。紅葉の第一展望所は溫泉所在地から三粁三弱の仁田峠(海拔一、〇八〇米)である。こゝから普賢嶽の絕頂まで約八粁、その閒に赤松谷、薊谷、鬼人谷の三大谿谷があつて深山性樹木繁茂し、殊に紅葉植物の種類は六十五種の多きに上り、秋季は全山燃ゆるやうな壯觀を呈する。鮮紅色を呈するものにやまもみぢ、てつかへで、おほいたやめいげつ、こはうちはかへで、ななかまど、やまばうし、やまうるし、おとこようぞめ、しろどうだん、みやまきりしまがあり、暗紅色のものに、むしかり、ねぢき、りやうぶ、みやましぐれ、紫紅色に、おほこまゆみ、こばのみつばつゝじ、だいせんみつばつゝじがあり、柑色または黃色に、つくばねうつぎ、しらき、けくろもじ、いぬざんしやう、かなくぎのき、赤褐色に、こばのがまずみ、のりうつぎ、くまのみづきがある。

草本のおかとらのを(紅色)、やまのいも(帶黃白色)、ぜんまい(淡褐色)も美觀を添へる。

島原・雲仙のみどころ