無意根山

無意根山

昭和初期のガイド文

標高1,460m、札幌近郊の山岳としては、余市岳に次ぐ高度があり、夏山としても相当登山者が多いところですが、冬の無意根山はまた定山渓を拠点として最も優れたスキーツアーに適しています。1,200m付近まではトドマツ、エゾマツの森林帯ですが、それ以上は無樹帯となって、いたるところ気持ちのいい滑降が味わえます。頂上から東側は断崖となって高山的な景観を見せています。登路は定山渓から薄別を経て小川に沿って進み最後の二俣から中間の尾根に登って進むと定山渓から13kmのところに無意根小屋があります。約5時間行程で、帰路は2時間で滑降できます。この間指導標があります。無意根小屋は収容20名で、番人がいて宿泊できます。小屋から頂上までは2.5km、1時間半と見ればいいです。頂上からは羊蹄山の秀峰を望んで展望が雄大です。夏は山頂はネマガリササとハイマツで相当困難です。無意根小屋に宿泊してさらに奥の喜茂別岳(1,176m)に登り、奥無根小屋を経て定山渓へ戻ることができます。

また別に薄別で無意根小屋への道と分かれ、本流に沿って薄別から2kmにある二股の少し手前から、西に入る尾根を登ると奥無意根小屋があります。定山渓から約11km、4時間行程で、ここから喜茂別岳や奥無意根山へ登ることもできますが、普通1日行程では奥無意根小屋までです。

また無意根山へは京極線脇方駅から、三井鉱山を経て頂上まで約13km、5時間で登ることができ、滑降は2時間程度で長い滑降を楽しむことができます。

※底本:『日本案内記 北海道篇(五版)』昭和11年(1936年)発行

令和に見に行くなら

名称
無意根山
かな
むいねやま
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
北海道札幌市南区定山渓
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

標高一、四六〇米、札幌近郊の山嶽としては、余市嶽につぐ高度を有し、夏山としても相當登山者が多いが、冬の無意根山はまた定山溪を根據として最も優れたスキーツーアに適して居る。一、二〇〇米附近までは「とど松」、蝦夷松の森林帶であるが、それ以上は無樹帶となつて、到る處痛快な滑降が味へる。頂上から東側は斷崖をなして高山的な景觀を見せて居る。登路は定山溪から薄別を經て小川に沿うて進み最後の二俣から中閒の尾根に登つて進むと定山溪から一三粁に無意根小屋がある、約五時閒行程で、歸路は二時閒で滑降出來る。この閒指導標がある。無意根小屋は收容二十名で、番人が居り宿泊出來る。小屋から頂上までは二粁半、一時閒半と見れば良い。頂上からは羊蹄山の秀峯を望んで展望が雄大である。夏は山頂は「ねまがり笹」と偃松で相當困難である。無意根小屋に宿泊して尙奧の喜茂別嶽(一、一七六米)に登り、奧無根小屋を經て定山溪へ戾ることが出來る。

別に薄別で無意根小屋への道と分れ、本流に沿うて薄別から二粁にある二股の少し手前から、西に入る尾根を登ると奧無意根小屋がある。定山溪から約一一粁四時閒行程で、こゝから、喜茂別嶽や、奧無意根山へ登ることも出來るが、普通一日行程には奧無意根小屋までゝある。

また無意根山へは京極線脇方驛から、三井鑛山を經て頂上まで約一三粁、五時閒で登ることが出來、滑降は二時閒程度で長い滑降を樂しむことが出來る。

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