藻岩原始林
昭和初期のガイド文
藻岩山にあり面積約3.47km²。この山は古来鬱蒼とした原始林で覆われ、寒地であるにも関わらず、多種の広葉樹が密生していることで知られるところです。明治25年(1892年)アメリカの森林植物学者サルジェント氏がこの山に登って、わずか数平方マイルの地域内に自生する樹木の種類および変種の数が62の多さに達していることを嘆賞しました。樹種でよく見られるものはカツラ、ホホノキ、コブシ、マユミ、キハダ、ニガキ、イタヤカエデ、ハウチワカエデ、ボダイジュ、シナノキ、ベニヤマザクラ、シュリ、ズミ、ナナカマド、アズキナシ、タラノキ、ハリギリ、コシアブラ、ミヅキ、ハシトイ、ヤツダモ、アオタゴ、コブニレ、オヒョウ、オニグルミ、シラカバ、ウダイカンバ、エゾノダケカンバ、ソウシバ、ヤマハンノキ、ヤマナラシ、ミズナラ、トドマツなどです。先年山麓の部分が開拓された時、カツラその他の大樹が伐倒され、後面は山火事に遭い、価値を損じましたが、正面の山腹一帯はなお密林で覆われています。
令和に見に行くなら
- 名称
- 藻岩原始林
- かな
- もいわげんしりん
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 北海道札幌市南区
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
藻岩山にあり面積約三四七ヘクタール。この山は古來鬱蒼たる原始林で被はれ、寒地であるに拘らず、多種の濶葉樹が密生して居ることで著しいところである。明治二十五年米國の森林植物學者サルジェント氏がこの山に登つて、僅數平方哩の地域內に自生する樹木の種類及變種の數が六十二の多きに達して居ることを嘆賞した。樹種中普通なものは「かつら」、「ほほのき」、「こぶし」、「まゆみ」、「きはだ」、「にがき」、「いたやかへで」、「はうちはかへで」、「ぼだいじゆ」、「しなのき」、「べにやまざくら」、「しうり」、「ずみ」、「ななかまど」、「あづきなし」、「たらのき」、「はりぎり」、「こしあぶら」、「みづき」、「はしとい」、「やつだも」、「あをたご」、「こぶにれ」、「おひやう」、「おにぐるみ」、「しらかば」、「うだいかんば」、「えそのたけかんば」、「さはしば」、「やまはんのき」、「やまならし」、「みづなら」、「とどまつ」である。先年山麓の部分が開拓された時、「かつら」その他の大樹が伐倒され、後面は山火の害を被り、頗る價値を損じたが、正面の山腹一帶は尙密林で蔽はれて居る。
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