湯浅町

湯淺町
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

湯浅湾に臨み、紀伊水道を隔てて徳島県の東岸と相対しています。山田川流域全部および広川流域の一部を占め、狭長な町域で東方は漸次高地となり、東端には三本松峰(533m)がそびえ立っています。湯浅湾は那耆湾ともいい、湾口近く毛無島、苅藻島、鷹島、黒島が羅列して風を防ぎ、波静かに水深く自然の良港をなしています。なお鷹島にはハマユウが多く、苅藻島は洞穴があるなど島巡り遊覧に好いところです。

町の特産物である湯浅醤油は日本最初の醤油として知られ六百数十年前入宋した禅僧覚心が帰朝後創製したという古い歴史を有しています。醸造高年額2万5,000石、75万円(昭和6年)に上る。その他生糸の産額年43万円あり、蚊取線香、漁網地、薬品の産も少なくありません。人口は1万800人。

※底本:『日本案内記 近畿篇 下(初版)』昭和8年(1933年)発行

令和に見に行くなら

名称
湯浅町
かな
ゆあさちょう
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
和歌山県有田郡湯浅町
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

湯淺灣に臨み、紀伊水道を隔てて德島縣の東岸と相對して居る。山田川流域全部及廣川流域の一部を占め、狹長な町域で東方は漸次高地となり、東端三本松峰(五三三米)を屹立せしめて居る。湯淺灣は那耆灣とも云ひ、灣口近く毛無島、苅藻島、鷹島、黑島が羅列して風を防ぎ、波靜かに水深く自然の良港をなして居る。尙鷹島には濱木綿多く、苅藻島は洞穴をなすなど島巡り遊覽に好い。

町の特產物湯淺醤油は本邦最初の醤油として知られ六百數十年閒入宋した禪僧覺心が歸朝後創製したと云ふ古い歷史を有して居る。釀造高年額二萬五千石、七十五萬圓(昭和六年)に上る。その他生絲の產額年四十三萬圓あり、蚊取線香、漁網地、藥品の產も少くない。人口一萬八百人。

有田・湯浅のみどころ