酬恩庵(一休寺)

酬恩庵(薪一休寺)[臨濟宗大德寺派]

昭和初期のガイド文

片町線田辺駅の西約1km、奈良電車新田辺駅の西1.5km、田辺町薪にあります。鎌倉時代の文永年間(1264~1275年)の創建で後に一時衰頽したのを、室町時代の康正年中(1455~1457年)一休和尚が中興してから有名となりました。

本堂[国宝] 三間三面、単層、屋根は入母屋造檜皮葺、桝組、棰、円柱、火灯窓、虹梁、仏壇に至るまで、純然とした唐様で非常に変化に富み、周囲入口唐戸の花狭間にはひとつひとつ異なった意匠を施しています。内外の手法構造は、よく鎌倉円覚寺の舎利殿に似ていますが、円覚寺のものは鎌倉時代に属し、こちらは室町時代の禅宗建築の標本です。

一休和尚坐像[国宝] 方丈に安置されています。下眼入盛上げ極彩色で、竹篦を執り椅子に坐する像です。寺伝に一休高足墨済禅師の作といいます。なおこのほかに一休禅師の画像があり、これも国宝に指定されています。境内に一休和尚の墓があります。

※底本:『日本案内記 近畿篇 上(初版)』昭和7年(1932年)発行

令和に見に行くなら

名称
酬恩庵(一休寺)
かな
しゅうおんあん(いっきゅうじ)
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
京都府京田辺市薪里ノ内102
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

片町線田邊驛の西約一粁、奈良電車新田邊驛の西方一粁半、田邊町薪にある。文永年間の創建で後一時衰頽したのを、康正年中一休和尚が中興してから有名となつた。

本堂[國寶] 三間三面、單層、屋根は入母屋造檜皮葺、桝組、棰、圓柱、火燈窓、虹梁、佛壇に至るまで、純然たる唐樣で頗る變化に富み、周圍入口唐戸の花狭間には一々異つた意匠を施して居る。内外の手法構造は、よく鎌倉圓覺寺の舎利殿に似て居るが、彼は鎌倉時代に屬し、これは室町時代の禅宗建築の標本である。

一休和尚坐像[國寶] 方丈に安置されて居る。下眼入盛上げ極彩色で、竹篦を執り椅子に坐する像である。寺傳に一休高足墨濟禅師の作と云ふ。尚この外に一休禅師の畫像があり、これも國寶に指定されて居る。境内に一休和尚の墓がある。

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