蟹満寺
蟹滿寺(紙幡寺)[眞言宗智山派]
昭和初期のガイド文
棚倉駅の北1.5km、棚倉村綺田にあります。本尊の釈迦如来坐像は、もと付近にあった光明山寺のものを同寺廃頽の後ここに移したものと伝えられています。銅造で高さ3.3m、いわゆる丈六の坐像で、奈良時代に鋳造された巨像の面影を今に伝える珍しい傑作です。仏身はそのいずれの部分もよく均衡が保たれ、厳然として坐した風姿は、拝する者に力強さを感じさせるもので国宝に指定されています。なお寺の縁起については今昔物語にも見られる蟹の命を救った里の娘が観音の利益で蛇難を免れたという伝説があります。
※底本:『日本案内記 近畿篇 上(初版)』昭和7年(1932年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 蟹満寺
- かな
- かにまんじ
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 京都府木津川市山城町綺田浜36
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
棚倉驛の北一粁半、棚倉村綺田にある。本尊の釋迦如來坐像は、もと附近にあつた光明山寺のものを同寺廢頽の後こゝに移したものと傳へられて居る。銅造高さ八尺七寸、所謂丈六の坐像で、奈良時代に鑄造された巨像の面影を今に傳ふる珍らしい傑作である。佛身はその何れの部分もよく均衡が保たれ、嚴然として坐せる風姿は、拜する者に力强い感を起さしめるもので國寶に指定されて居る。尙寺の緣起については今昔物語にも見られる蟹の命を救うた里の娘が觀音の利益で蛇難を免れたといふ傳說がある。