大善寺

大善寺[新義眞言宗]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

勝沼駅の南約3km、付近まで自動車の便があり、勝沼町柏尾山の中腹勝景の地にあります。養老年間の創建と伝え、鎌倉時代以後は代々将軍家ならびに武田氏の祈願寺でした。現在の本堂は鎌倉時代の弘安9年(1286年)に北条貞時が再建したものといい、五間五面、単層、四注造、檜皮葺の建築で桝組は和様二手先を用い、頭貫の末端には唐様の絵様彫刻を施し、和様を主とし唐標を加味した鎌倉時代の建築で、国宝に指定されています。

本堂に本尊薬師如来の坐像および脇侍日光月光両菩薩の立像が安置されています。いずれも木造で、螺髪、光背および蓮座など後に補われた部分もありますが、全体は非常によく保存され、漆箔もよく残っています。面貌豊麗、製作優秀にして、平安時代の特徴を有し、国宝に指定されています。なお本堂にある板笈は、鎌倉時代のもので貴重な修験道の遺品です。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
大善寺
かな
だいぜんじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
山梨県甲州市勝沼町勝沼3559
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

驛の南約三粁、附近まで自動車の便があり、勝沼町柏尾山の中腹勝景の地にある。養老年閒の創建と傳へ、鐮倉時代以後は代々將軍家竝に武田氏の祈願寺であつた。今の本堂は弘安九年に北條貞時が再建したものと云い、五閒五面、單層、四注造、檜皮葺の建築で桝組は和樣二手先を用ゐ、頭貫の末端には唐樣の繪樣彫刻を施し、和樣を主とし唐標を加味した鐮倉時代の建築で、國寶に指定されて居る。

本堂に本尊藥師如來の坐像及脇侍日光月光兩菩薩の立像が安置されて居る。何れも木造で、螺髮、光背及蓮座など後に補はれた部分もあるが、全體は頗るよく保存され、漆箔もよく殘つて居る。面貌豐麗、製作優秀にして、平安時代の特徵を有し、國寶に指定されて居る。尙本堂にある板笈は、鐮倉時代のもので珍重すべき修驗道の遺品である。

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