善重寺の聖徳太子像

善重寺聖德太子像[國寶]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

水戸駅の東南約3km、途中まで電車の便があり、酒門村酒門善重寺の太子堂に安置されています。木造で高さ約1.3m、束帯の上に袈裟を着け、右手に笏を執り、左手には柄香炉を持った童形の立像です。袍の模様は赤地に花唐草鳳凰の丸紋置き上げ極彩色、袈裟の模様は雷紋と輪宝を金泥で現しています。頭髪は漆黒で中央からみづらに分け、面貌は白色豊満で明智な眼光を放ち、幼くして聡明であった聖徳太子の風格がよく表現されています。鎌倉時代の優秀な作でほとんど完存しています。寺伝によるとこの像は徳川光圀が那珂郡の某寺からこの寺に移して帰依したものといいます。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行
聖徳太子像(善重寺)

令和に見に行くなら

名称
善重寺の聖徳太子像
かな
ぜんじゅうじのしょうとくたいしぞう
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
茨城県水戸市酒門町2096-2
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

驛の東南約三粁、途中まで電車の便があり、酒門村酒門善重寺の太子堂に安置されて居る。木造高さ約一米三(四尺二寸)、束帶の上に袈裟を着け、右手に笏を執り、左手には柄香爐を持ち給へる童形の立像である。袍の模樣は赤地に花唐草鳳凰の丸紋置き上げ極彩色、袈裟の模樣は雷紋と輪寶を金泥で現はして居る。頭髮は漆黑にして中央よりみづらに分け、面貌は白色豐滿にして明智なる眼光を放ち、幼にして聰明なりし聖德太子の風格がよく表現されて居る。鐮倉時代の優秀なる作にして殆ど完存して居る。寺傳によるとこの像は德川光圀が那珂郡の某寺より當寺に移して歸依したものと云ふ。

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