善明寺の阿弥陀像

善明寺阿彌陀像[國寶]

昭和初期のガイド文

大国魂神社の西方、善明寺境内の金仏堂に安置されています。高さ約1.8m、鉄製鋳物の坐像で、弥陀の定印を結び、左肩に次の鋳出銘があります。

大勘進念阿弥陀仏明建大工藤原助近右志者為過去二親行厳新殷意乃至法界衆生平等利益奉鋳一丈一尺仏身也 建長五年葵丑二月十八日丙寅彼岸初日

鉄のような鋳造が難しい材料を使用したので、面相衣文が粗雑ですが、鎌倉時代の中頃に鉄でこれだけの巨像を鋳造できたことは驚くべきことです。胎内に納められた鉄製阿弥陀如来の立像は高さ1mほど、銘文に

夫万善妙体収阿弥陀三字故犯比丘四重罪比丘尼八重罪者若至五逆十悪謗法閘提男子五障三従女人一度参語唱弥陀名号輩生楽士受諸楽無極矣

とあります。その面相の優美、衣文の流麗な点はあたかも木彫のように自由です。手法様式から見ると建長頃の製作と考えられます。両者とも国宝で鉄仏がこのように2体までも揃ってあることは造像史上興味あることです。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
善明寺の阿弥陀像
かな
ぜんみょうじのあみだぞう
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
備考
通常は非公開ですが、「東京文化財ウィーク」で公開日があります。
住所
東京都府中市本町1-5-4 善明寺内
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

大國魂神社の西方、善明寺境內金佛堂に安置されて居る。高約一米八(六尺)鐵製鑄物の坐像で、彌陀の定印を結び、左肩に次の鑄出銘がある。

大勘進念阿彌陀佛明建大工藤原助近右志者爲過去二親行嚴新殷意乃至法界衆生平等利益奉鑄一丈一尺佛身也 建長五年葵丑二月十八日丙寅彼岸初日

鐵の樣な鑄惡い材料を使用したので、面相衣文が自ら粗雜であるが、鐮倉時代の中頃に鐵でこれ丈けの巨像を鑄たことは驚くべきである。胎內に納められた鐵製阿彌陀如來の立像は高さ一米餘(三尺五寸)、銘文に

夫萬善妙體收阿彌陀三字故犯比丘四重罪比丘尼八重罪者若至五逆十惡謗法閘提男子五障三從女人一度參語唱彌陀名號輩生樂士受諸樂無極矣

とある。その面相の優美、衣文の流麗なるは恰も木彫の如くに自由である。手法樣式から見ると建長頃の製作と思へる。兩者共國寶で鐵佛がかく二體までも揃つてあることは造像史上興味あることである。

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