西大寺

西大寺(觀音院)[古義眞言宗]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

西大寺鉄道西大寺町駅下車、西大寺町西大寺にあり、岡山からは自動車の便があります。伝えて奈良時代の天平勝宝3年(751年)の創建、周防国玖珂郡司藤原泰明の娘皆足姫の開基、紀州安隆上人の開山と称し、その後室町時代の文亀年間(1501~1504年)忠阿上人によって中興されました。本尊として千手観音像を安置しています。古来国司領主の帰依が厚く、宇喜多直家の香華院でした。寺宝の朝鮮鐘は国宝で高麗朝初期の遺品です。旧正月14日の夜行われる修正会は会陽と称し裸祭が賑わいます。当日数万の参拝者は吉井川の流れで身を清めて裸体となり、夜更けて院主が投げ出す宝木を中心にひしめきます。この宝木を得た人は幸福を得るとの俗信のためです。付近の金山の麓に画聖巨勢金岡の筆洗井があります。

※底本:『日本案内記 中国・四国篇(初版)』昭和9年(1934年)発行

令和に見に行くなら

名称
西大寺
かな
さいだいじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
岡山県岡山市東区西大寺中3-8-8
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

西大寺鐵道西大寺町驛下車、西大寺町西大寺にあり、岡山からは自動車の便がある。傳へて天平勝寶三年の創建、周防國玖珂郡司藤原泰明の女皆足姬の開基、紀州安隆上人の開山と稱し、その後文龜年閒忠阿上人によつて中興された。本尊として千手觀音像を安置して居る。古來國司領主の歸依厚く、宇喜多直家の香華院であつた。寺寶の朝鮮鐘は國寶で高麗朝初期の遺品である。舊正月十四日の夜行はるゝ修正會は會陽と稱し裸祭が賑ふ。當日數萬の參拜者は吉井川の流れで身を淸めて裸體となり、夜更けて院主が投げ出す寶木を中心に犇く。この寶木を得た人は幸福を得るとの俗信のためである。附近の金山の麓に畫聖巨勢金岡の筆洗井がある。

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