曹源寺(円山大寺)

曹源寺(圓山大寺)[臨濟宗妙心寺派]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

西大寺鉄道大師駅の南約1.5km、岡山駅からは東7km、富山村円山にあり、自動車の便があります。元禄11年(1698年)岡山藩主池田綱政の開基で、池田信輝の菩提のために創建され、開山は絶外宗純和尚です。寺域は広く、幽邃で松が繁茂するなか壮大な堂宇があり、その庭園は岡山付近の庭園のなかでも有名なものです。本堂の背後に綱政以来累代ならびに支流の墳墓あり、綱政墓は中央に、章政墓はその西隣にあります。寺宝の餓鬼双紙絵巻1巻は国宝に指定され、現在東京帝室博物館に出陳中ですが、詞絵各々7段あり、紙本淡彩で各段とも餓鬼が飢渇に苦しんでいる光景を描いたもので、鎌倉時代の製作となり、同じく東京帝室博物館出陳の岡山市国富町安住院の寺宝になっている国宝地獄絵巻とともに、当時の仏教信仰の一面がうかがえ、かつ風俗史料としても重要なものです。

※底本:『日本案内記 中国・四国篇(初版)』昭和9年(1934年)発行

令和に見に行くなら

名称
曹源寺(円山大寺)
かな
そうげんじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
岡山県岡山市中区円山1069
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

西大寺鐵道大師驛の南約一粁半、岡山驛からは東七粁、富山村圓山にあり、自動車の便がある。元祿十一年岡山藩主池田綱政の開基で、池田信輝菩提のために創建せられ、開山は絕外宗純和尙である。寺域宏濶、境地幽邃松樹繁茂せるうちに壯大な堂宇があり、その庭園は岡山附近庭園中有名なものである。本堂の背後に綱政以來累代竝に支流の墳墓あり、綱政墓は中央に、章政墓はその西鄰に存する。寺寶の餓鬼雙紙繪卷一卷は國寶に指定せられ、今東京帝室博物館に出陳中であるが、詞繪各々七段あり、紙本淡彩で各段とも餓鬼が飢渴に苦しんで居る光景を畫いたもので、鐮倉時代の製作にかゝり、同じく東京帝室博物館出陳の岡山市國富町安住院の寺寶に成つて居る國寶地獄繪卷と共に、當時の佛敎信仰の一面を窺ふに足り、且風俗史料としても重要なものである。

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