峰定寺

峯定寺[天臺宗寺門派]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

鞍馬電車鞍馬駅の北16km、愛宕郡花脊村原地新田にあります。

寺伝によるとこの寺は平安時代の久寿元年(1154年)僧観空が鳥羽天皇の叡旨を奉じて創建し、千手観音を奉安したのが始めで、平清盛もまた建物を寄附したといいます。この地は僻遠の山中にあるので中世には衰退し、現在では本堂、供水所、仁王門等の古建築を残しているのみです。

仁王門[国宝] 三間一戸の八脚門で、室町時代の貞和6年(1350年)定智が堂宇を修理した時の遺物です。

本堂および供水所[国宝] 本堂桁行五間、梁間五間、単層、屋根四注造、杮葺で、供水所は方一間、単層、板葺です。この両建築は貞和頃の再建で手法美しく、特に厨子およびその須弥壇の装飾が優れています。

十一面千手観音坐像[国宝] 創建当時の霊像です。仏体は素木のままで、衣には精細な切金文様を一面に施したもので、その面相衣紋の作法あるいは切金文様などいずれも藤原時代の豊麗な趣致を残しています。

  • 宝物
  • 不動明王および二童子立像[国宝] 木造 三体
  • 毘沙門天立像[国宝] 木造 一体
  • 釈迦如来立像[国宝] 木造 一体
  • 以上三点とも京都博物館出陳
※底本:『日本案内記 近畿篇 上(初版)』昭和7年(1932年)発行

令和に見に行くなら

名称
峰定寺
かな
ぶじょうじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
京都府京都市左京区花背原地町772
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

鞍馬電車鞍馬驛の北一六粁、愛宕郡花脊村原地新田にある。

寺傳によると本寺は久壽元年僧觀空が鳥羽天皇の叡旨を奉じて創建し、千手觀音を奉安したのが始めで、平淸盛もまた建物を寄附したと云ふ。この地は僻遠の山中にあるので中古いたく衰へ、今日は本堂、供水所、仁王門等の古建築を殘して居るのみである。

仁王門[國寶] 三閒一戶の八脚門で、貞和六年定智が堂宇を修理した時の遺物である。

本堂及供水所[國寶] 本堂桁行五閒、梁閒五閒、單層、屋根四注造、杮葺で、供水所は方一閒、單層、板葺である。この兩建築は貞和頃の再建で手法美はしく、特に厨子及その須彌壇の裝飾が優れて居る。

十一面千手觀音坐像[國寶] 創建當時の靈像である。佛體は素木のまゝで、衣には精細な切金文樣を一面に施したもので、その面相衣紋の作法或は切金文樣など何れも藤原時代の豐麗な趣致を存して居る。

  • 寶物
  • 不動明王及二童子立像[國寶] 木造 三軀
  • 毘沙門天立像[國寶] 木造 一軀
  • 釋迦如來立像[國寶] 木造 一軀
  • 以上三點とも京都博物館出陳

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