鞍馬寺

鞍馬寺[天臺宗]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

鞍馬電車鞍馬下車、登路約1km、鞍馬山の中腹にあります。

奈良時代の延暦年間(782~806年)藤原伊勢人が堂宇を創建して毘沙門天を勧請したことに始まり、京都の北にあるので王城の鎮護を意味し、朝廷からも一般にも崇敬深く、堂塔は壮観を極めましたが、しばしば火災に遭い、現存の堂宇は明治年間(1868~1912年)の再建です。仁王門から阿弥陀堂を経て本堂に至る間には九折坂があり、本堂に近く多宝塔、観音堂、薬師堂などがあります。6月20日の蓮華会は俗に竹切といい、よく知られていて参詣者が多いものです。

毘沙門天像[国宝] 二体、奥の院不動堂に安置されています。鎮守夜叉毘沙門とも呼ばれ、藤原時代の優秀な作です。

銅灯籠[国宝] 本堂の前にあるもので正嘉年間(1257~1259年)の銘があり、屋蓋の蕨手と火舎とは銅製で、その他は江戸時代中期の元禄時代(1688~1704年)の補足です。火舎には鋳出しの毘沙門天その他の仏像を現した鎌倉時代の古雅な灯籠です。

  • 宝物
  • 鞍馬寺文書[国宝] 紙本墨書 一巻 建長三年十月廿三日将軍頼嗣願文 延元元年六月廿三日新田義貞書状 八月十三日名和長年書状ほか8通
  • 聖観音立像[国宝] 木造 定慶作 京都博物館出陳 一体
  • 黒漆剣[国宝] 寺伝坂上田村麻呂佩剣 一口
  • 剣[国宝] 無銘 拵三鈷柄漆鞘剣 一口
  • 以上剣2口は東京遊就館出陳
※底本:『日本案内記 近畿篇 上(初版)』昭和7年(1932年)発行

令和に見に行くなら

名称
鞍馬寺
かな
くらまでら
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
京都府京都市左京区鞍馬本町1074
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

鞍馬電車鞍馬下車、登路約一粁、鞍馬山の中腹にある。

延曆年閒藤原伊勢人が堂宇を創建して毘沙門天を勸請したのに始まり、京師の北方にあるので王城の鎭護を意味し、朝野の崇敬深く、堂塔壯觀を極めたが、屢火災に遭ひ、現存の堂宇は明治年閒の再建である。仁王門から阿彌陀堂を經て本堂に至る閒には九折坂があり、本堂に近く多寶塔、觀音堂、藥師堂等がある。六月二十日の蓮華會は俗に竹切と云ひ、よく人口に膾炙され參詣者が多い。

毘沙門天像[國寶] 二軀、奧の院不動堂に安置されて居る。一は鎭守夜叉毘沙門と稱し、藤原時代の優秀な作である。

銅燈籠[國寶] 本堂の前にあるもので正嘉年閒の銘あり、屋蓋の蕨手と火舍とは銅製で、その他は元祿時代の補足である。火舍には鑄出しの毘沙門天その他の佛像を現はした鐮倉時代の古雅な燈籠である。

  • 寶物
  • 鞍馬寺文書[國寶] 紙本墨書 一卷 建長三年十月廿三日將軍賴嗣願文 延元元年六月廿三日新田義貞書狀 八月十三日名和長年書狀外八通
  • 聖觀音立像[國寶] 木造 定慶作 京都博物館出陳 一軀
  • 黑漆劍[國寶] 寺傳坂上田村麻呂佩劍 一口
  • 劍[國寶] 無銘 拵三鈷柄漆鞘劍 一口
  • 以上劍二口は東京遊就館出陳

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