仙巌園

磯島津邸
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

鹿児島駅の東北2.5km、市内吉野にあります。尚古集成館の東北に続いた島津家の別荘で江戸時代前期の万治年間(1658~1661年)島津光久が創建したものとなり仙厳園と名付けられました。邸宅は清楚な純日本建築ですが、庭園は前面に錦江湾および桜島を取入れ背面に磯山を背負い、泉石、樹木の配置もこれと相和して雄大の趣をなしています。庭内の小亭は琉球王から献上されたものといい、明代の風を伝え、王羲之筆という望岳楼の扁額がかかっています。後方にある孟宗竹林は、琉球国が中国から輸入した孟宗竹を、元文元年(1736年)島津吉貴が2株移植したものが繁殖したもので、内地に広まっている江南竹の元祖です。尚古集成館または南洲翁記念館の参観者は無料で参観ができます。

※底本:『日本案内記 九州篇(六版)』昭和13年(1938年)発行
島津家磯別邸

令和に見に行くなら

名称
仙巌園
かな
せんがんえん
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
鹿児島県鹿児島市吉野町9700-1
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

同市內吉野にある。尙古集成館の東北に續いた島津家の別業で萬治年閒島津光久が創建したものにかゝり仙嚴園と名付けられた。邸宅は淸楚なる純日本建であるが、庭園は前面に錦江灣及櫻島を取入れ背面に磯山を負ひ、泉石、樹木の配置これと相和して雄大の趣をなして居る。庭內の小亭は琉球王の獻上したものと云ひ、明代の風を傳へ、王羲之筆と云ふ望嶽樓の扁額がかゝつて居る。後方にある孟宗竹林は元文元年、島津吉貴が琉球國より支那から輸入せられた孟宗竹二株を需めて移植したものが繁殖したもので、內地に擴まつて居る江南竹の元祖である。尙古集成館または南洲翁記念館の參觀者は無料參觀が出來る。

鹿児島のみどころ