興善寺

興善寺[天臺宗]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

南海電車本線深日の西4km、多奈川村谷川にあります。文徳天皇の勅願といい、慈覚大師の開創です。室町時代の元亀~天正(1570~1592年)の兵火で焼失し、後に再興しました。本尊は木造大日如来坐像で、胎内に結縁の男女多数の名を列記した保安元年八月廿三日の銘文があり、木造釈迦如来坐像にも胎内に寛治七年六月仏師源増、小仏師僧京尋と記した長文の墨書銘があり、結縁男女の名が多数記されています。ほかに木造薬師如来坐像が2体あり、4体ともに藤原後期の優作で国宝となっています。台座は補修されています。境内に正平21年(1366年)の石灯籠があります。

※底本:『日本案内記 近畿篇 下(初版)』昭和8年(1933年)発行

令和に見に行くなら

名称
興善寺
かな
こうぜんじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
大阪府泉南郡岬町多奈川谷川1460
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

同深日の西四粁、多奈川村谷川にある。文德天皇の敕願と云ひ、慈覺大師の開創である。元龜、天正の兵火に燒失し、後再興した。本尊は木造大日如來坐像で、胎內に結緣の道俗男女多數の名を列記した保安元年八月廿三日の銘文があり、木造釋迦如來坐像にも胎內に寬治七年六月佛師源增、小佛師僧京尋と記した長文の墨書銘あり、結緣道俗男女の名が多數記されてある。他に木造藥師如來坐像二軀あり、四軀共に藤原後期の優作で國寶である。臺座は補修せられた部分が多い。境內に正平廿一年の石燈籠がある。

和泉地方のみどころ