石戸の蒲桜と供養碑

石戶の蒲櫻及供養碑
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

桶川駅の西北約5.5km、石戸村堀ノ内にあります。蒲桜は馬琴の筆によって有名となった桜で、指定の天然記念物です。その幹は根本から4本に分かれ、最も大きなものは根本の周囲約11mもあります。花は彼岸桜に似て、その花序多少織房状をしていて、おしべの数40におよびます。4月の中旬に開き一大壮観を呈します。桜樹の根本に食い込んで一枚の板碑が立っています。碑面に阿弥陀三尊の種子(梵字)「光明遍照十方世界念仏衆生摂取不捨」の文と鎌倉時代の貞永2年(1233年)の年号が刻まれています。このほか桜の根本に十数枚の板碑があり、鎌倉時代あるいは室町時代の年号があります。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
石戸の蒲桜と供養碑
かな
いしとのかばざくらとくようひ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
埼玉県北本市石戸宿3-119 東光寺内
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

桶川驛の西北約五粁半、石戶村堀ノ內にあり。蒲櫻は馬琴の筆によつて有名となつた櫻で、指定の天然記念物である。その幹は根本から四本に分れ、最も大なるものは根本の周圍約一一米もある。花は彼岸櫻に似て、その花序多少織房狀をなし、雄蕊の數四十に及ぶ。四月の中旬に開き一大壯觀を呈する。櫻樹の根本に喰ひ込んで一枚の板碑が立つて居る。碑面に阿彌陀三尊の種子(梵字)「光明遍照十方世界念佛衆生攝取不捨」の文及貞永二年の年號が刻まれて居る。この外櫻樹の根本に十數枚の板碑があり、鐮倉時代或は室町時代の年號がある。

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