桜川の桜
櫻川の櫻
昭和初期のガイド文
羽黒駅の西北2km、東那珂村磯部神社の馬場、長さ約1kmの両側にあり、花の時期には岩瀬駅から自動車の便があります。ここは大和の吉野に次いで古から知られた桜の景勝地で、指定の天然記念物です。東北産の白山桜の変種に富み、花色に紅を帯びるもの、花に芳香あるものが多いものです。特に中央の広場には大樹があり、広場の東側にある茶芽白花の桜樹は幹囲最も太く根本の周囲5mを越えています。広場の中央にある大樹は赤芽で花の咲立には紅色を帯び樹形壮大です。社殿の後方400mにある小流は昔の桜川で、謡曲に出ている古蹟と伝わります。また近年馬場のなかにソメイヨシノを混植しています。武蔵小金井へはここから移植されたものが少なくありません。
※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 桜川の桜
- かな
- さくらがわのさくら
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 茨城県桜川市磯部740-2
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
羽黑驛の西北二粁、東那珂村磯部神社の馬場、長さ約一粁の兩側にあり、花時には岩瀨驛から自動車の便がある。こゝは大和の吉野に次いで古から知られた櫻の勝地で、指定の天然記念物である。東北產の白山櫻の變種に富み、花色に紅を帶ぶるもの、花に芳香あるものが多い。殊に中央の廣場には大樹があり、廣場の東側にある茶芽白花の櫻樹は幹圍最も太く根本の周圍五米を越へて居る。廣場の中央にある大樹は赤芽で花の咲立には紅色を帶び樹形壯大である。社殿の後方四〇〇米にある小流は昔の櫻川で、謠曲に出て居る古蹟と傳へる。また近年馬場の中に染井吉野を混植して居る。武藏小金井へはこゝから移植されたものが少くない。