芝東照宮
昭和初期のガイド文
増上寺の南にあり、江戸時代前期の寛永18年(1641年)の造営で、拝殿と本殿からなります。拝殿は三間二面入母屋造銅板葺で、一間の向拝をもち、外廻りは朱塗、内部は黒塗です。本殿は拝殿の後方に離れて一段高く、土壇の上にあり、五間五面入母屋造銅板葺で唐破風造の向拝があります。黒塗の二重繁棰を配し、桝組は和様三手先を使用し、その尾棰は竜鼻形となっています。蟇股内には松に鷹の彫刻を嵌め、枇杷板には金箔押亀甲文の透彫があります。板支輪には竜の半肉彫、また長押上には菊と水の透彫を嵌装し、これら長押上各部の彫刻は漆箔あるいは極彩色を施していますが、漆箔は大部分が剥落して下地の朱塗が露出しています。内部はいっそう華麗な装飾が施されていて、内陣には蒔絵を施した華麗な入母屋造の宮殿があり、家康60歳の時の肖像が祀られています。この像は江戸時代前期の元和2年(1616年)駿府城から増上寺に贈られたものと伝わります。宮殿の後ろに設けられた板壁の内側には天人の図、外側には釈迦三尊の像が描かれています。
令和に見に行くなら
- 名称
- 芝東照宮
- かな
- しばとうしょうぐう
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 状態違うが見学可
- 備考
- 昭和20年(1945年)の東京大空襲により焼失し、現在の社殿は昭和44年(1969年)に再建されたものです。
- 住所
- 東京都港区芝公園4-8-10
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
增上寺の南方にあり、寬永十八年の造營で、拜殿及本殿より成る。拜殿は三閒二面入母屋造銅板葺で、一閒の向拜を有し、外廻りは朱塗、內部は黑塗である。本殿は拜殿の後に離れて一段高く、土壇の上にあり、五閒五面入母屋造銅板葺で唐破風造の向拜がある。黑塗の二重繁棰を配し、桝組は和樣三手先を用ゐ、その尾棰は龍鼻形をなして居る。蟇股內には松に鷹の彫刻を嵌め、枇杷板には金箔押龜甲文の透彫がある。板支輪には龍の半肉彫、また長押上には菊と水の透彫を嵌裝し、これら長押上各部の彫刻は漆箔或は極彩色を施して居るが、漆箔は大部分剥落して下地の朱塗が露出して居る。內部は一層華麗なる裝飾を施し、內陣には蒔繪を施した華麗なる入母屋造の宮殿があり、家康六十歲の時の肖像が祀られて居る。この像は元和二年駿府城より增上寺に送られたものと云ふ。宮殿の後に設けられた板壁の內側には天人の圖を、外側には釋迦三尊の像が描かれて居る。