深大寺
深大寺[天臺宗]
昭和初期のガイド文
京王電車調布駅の北約2km、神代村深大寺にあります。奈良時代の天平年間(729~749年)満功上人の開いたところと伝わり、古くは法相宗でしたが、平安時代の貞観年中(859~877年)天台宗に改めたといいます。本堂は大正8年(1919年)の再建で、その本尊は阿弥陀如来の像ですが、別に法相宗の時代から伝わるものという釈迦如来の坐像があります。金銅製の倚像で高さ約75cm、体躯がほっそりとして衣が薄くかかるあたりは、多少六朝仏の古式が見えますが、面貌は豊麗にして微笑をたたえ、刀法の直截で明哲な表情は、法隆寺の金堂に安置されている橘夫人念持仏とされる阿弥陀如来のそれとよく類似していて、奈良時代の優秀な作ということで国宝に指定されています。なお境内の鐘楼には室町時代の永和2年(1376年)の銘ある鐘がかかっています。
※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行
令和に見に行くなら
- 名称
- 深大寺
- かな
- じんだいじ
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 東京都調布市深大寺元町5-15-1
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
同調布驛の北約二粁、神代村深大寺にある。天平年閒滿功上人の開く所と傳へ、古へは法相宗であつたが、貞觀年中天臺宗に改めたと云ふ。本堂は大正八年の再建で、その本尊は阿彌陀如來の像であるが、別に法相宗の時代から傳ふる所と云ふ釋迦如來の坐像がある。金銅製の倚像で高さ約七五糎(二尺五寸)、體躯のほつそりとして衣の薄くかゝれるあたりは、多少六朝佛の古式を存するも、面貌豐麗にして微笑を湛へ、刀法の直截にして明哲なる表情は、法隆寺の金堂に安置されて居る橘夫人念持佛と稱する阿彌陀如來のそれに頗るよく類似し、奈良時代の優秀なる作にして國寶に指定されて居る。尙境內の鐘樓には永和二年の銘ある鐘がかゝつて居る。
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