小金井の桜

小金井の櫻
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

省線電車武蔵小金井駅の北1km、玉川上水道の両側、小川水衛所から境水衛所まで約6kmにわたって植えられています。これは江戸時代中期の元文の頃(1736~1741年)武蔵野新田の世話役川崎平右衛門が幕府の許可を得て植えたもので、後に補植されたものもありますが、いまなお当時の原樹が多数存在しています。樹種はほとんど皆白山桜で、大和の吉野山から移植したものが大半を占め、ほかは常陸の桜川から移したものです。花の紅花を帯びたものは桜川からの分であるといいます。

境橋付近では後の補植樹が多く、このため幹の大きなものは少ないですが、関野橋、新小金井橋辺には大樹が多くあります。特に日の出桜、入日の桜、三吉野桜など樹形の壮大さと花容の優れたものがあります。なかでも日の出の桜は大木で幹囲2.8mに達し、純白な花叢に濃紅の嫩葉を冠しています。小金井橋は桜並木のほぼ中央に位置し、橋の北詰付近には桜の巨樹が多く、樹下に川崎平右衛門植樹の碑があります。桜樹の数は大正12年(1923年)の調査によれば南岸に761本、北岸に710本、合計1,471本あります。花の見頃は4月20日前後。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行
小金井の桜

令和に見に行くなら

名称
小金井の桜
かな
こがねいのさくら
種別
見所・観光
状態
状態違うが見学可
備考
並木は衰え、日の出桜など名木も多く失われていますが、現在も桜は見られます。
住所
東京都小金井市関野町
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

同武藏小金井驛の北一粁、玉川上水道の兩側、小川水衞所から境水衞所まで約六粁に亘つて植ゑられて居る。これは元文の頃武藏野新田の世話役川崎平右衞門が幕府の許可を得て植ゑたもので、後に補植されたものもあるが、尙當時の原樹が多數に存在して居る。樹種は殆ど皆白山櫻で、その中大和の吉野山から移植したものが大半を占め、他は常陸の櫻川から移したものである。花の紅花を帶びたものは櫻川からの分であると云ふ。

境橋附近では後の補植樹が多く、隨つて幹の大なるものが少いが、關野橋、新小金井橋邊には大樹が多い。殊に日の出櫻、入日の櫻、三吉野櫻など樹形の壯大と花容の優れたものがある。中にも日の出の櫻は大木で目通幹圍二米八に達し、純白なる花叢に濃紅の嫩葉を冠して居る。小金井橋は櫻並木のほゞ中央に位し、橋の北詰附近には櫻の巨樹が多く、樹下に川崎平右衞門植樹の碑がある。櫻樹の數は大正十二年の調査によれば南岸に七百六十一本、北岸に七百十本、合計千四百七十一本ある。花期は四月二十日前後。

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