町屋のかんらん石

町屋の橄欖石
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

常陸太田駅の北10kmの町屋が集散地となっています。その石丁場は高鈴山の西南麓にある丘陵地で、町屋から東1km~3kmにあります。かんらん石は閃緑片岩を貫き一大塊となって現れ、外部は風化しているが内部に入れば新鮮緻密の岩石が得られます。このかんらん石は大部分変質して数種の鉱物を生じ、多く緑色となり幾分は褐色または黒色を呈します。これらの配合によって石に暗緑色のもの、淡褐色のもの、暗緑色の基地に黒斑を有するものなどがあります。その紋理によって大笹、小笹、牡丹、紅葉、黒亀甲、霜降などの名称が付されています。これらは琢磨すれば、光沢を発し紋理が鮮明になります。もっぱら採掘しているのは十切内外のもので大材はありません。多く東京に出し装飾用に供されます。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
町屋のかんらん石
かな
まちやのかんらんせき
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
備考
詳細位置が不明です。
住所
茨城県常陸太田市町屋町
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

驛の北方一〇粁の町屋が集散地となつて居る。その石丁場は高鈴山の西南麓にある丘陵地で、町屋から東方一粁乃至三粁にある。橄欖石は閃綠片岩を貫き一大塊をなして現はれ、外部は風化して居るが內部に入れば新鮮緻密の岩石が得られる。この橄欖石は大部分變質して數種の鑛物を生じ、多く綠色となり幾分は褐色または黑色を呈する。これらの配合によつて石に暗綠色のもの、淡褐色のもの、暗綠色の基地に黑斑を有するものなどがある。その紋理によつて大笹、小笹、牡丹、紅葉、黑龜甲、霜降などの名稱が附せられて居る。これらは琢磨すれば、光澤を發し紋理が鮮明になる。專ら採掘して居るのは十切內外のもので大材はない。多く東京に出し裝飾用に供せられる。

城里・常陸太田のみどころ