佐竹寺

佐竹寺[眞言宗智山派]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

常陸太田駅の西約5km、佐竹村天神林にあります。平安時代の寛和年間(985~987年)僧元密の創建と伝え観音像を安置しています。本堂は室町時代の天文15年(1546年)佐竹氏の再建となり、現在国宝に指定されています。七間七面屋根は四主造、茅葺、周囲に裳層を付し、裳層を承ける柱は角柱で、各柱間を明け放っています。正面三間に唐戸をたて、その両端の間には火灯窓があり、正面裳層の中央に唐破風を付しています。内陣は五間四面、瓦敷で箔押の来迎柱を建て須弥壇を設けて、観音像を安置し、須弥壇の前には護摩壇があります。須弥壇は牡丹に唐獅子、双竜など非常に雄大な彫刻を嵌装していますが、ほかの部分は極めて質素です。建築の様式も豪放雄大にしてよく建築当時の時代精神を発揮しています。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
佐竹寺
かな
さたけじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
茨城県常陸太田市天神林町2404
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

驛の西約五粁、佐竹村天神林にある。寬和年閒僧元密の創建と傳へ觀音像を安置して居る。本堂は天文十五年佐竹氏の再建にかゝり、今國寶に指定されて居る。七閒七面屋根は四主造、茅葺、周圍に裳層を附し、裳層を承くる柱は角柱で、各柱閒を明け放つて居る。正面三閒に唐戶をたて、その兩端の閒には火燈窓があり、正面裳層の中央に唐破風を附して居る。內陣は五閒四面、瓦敷で箔押の來迎柱を建て須彌壇を設けて、觀音像を安置し、須彌壇の前には護摩壇がある。須彌壇は牡丹に唐獅子、雙龍など頗る雄大なる彫刻を嵌裝せるも、他の部分は極めて質素である。建築の樣式も豪放雄大にしてよく建築當時の時代精神を發揮して居る。

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