瑞牆山

瑞牆山(二、二三〇米)
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

2,230m。秩父山塊の西、金峰山の西北峰続きにそびえ、秩父連峯は瑞牆山を西端に連ねて山勢おとろえ、信州峠、横尾山などを経て、八ヶ岳の裾野に連なっています。

全山花崗岩からなり山腹はおおむね針葉樹林に覆われて蒼黒く、その間に、花崗岩塊の奇哨が石筍のように鋭い岩甲をまとい、山骨稜々として奇峯を成しています。山麓一帯は広葉樹林が茂り、この間に釜瀬川および本谷川の渓流があり、秋には紅葉の美をもって聞えています。

登路は黒平および増富ラヂウム鉱泉からの2路がありますが増富からが便利です。増富から山頂までは約13km、東へ本谷川を遡って行きます。本谷川は花崗岩と集塊岩の境界をなす地裂線です。本谷川二俣から北へ道を採り鉱泉から約7kmで金山に達します。金山は四戸の貧寒な里落で、付近には往時武田信玄の採掘したと伝わる金坑の路があります。

金山から1,518mの小峠を越えると、いったん平地に出て、また急な登りとなり金峰登山道と分れて頂上に達します。花崗岩の奇峰は主に東南面に多く、鑢岩、子持岩、矢竹岩、弁慶力岩など各々名称があります。

山頂からは東に秩父の連山を一眸に集め、南に茅ヶ岳山塊から遠く南アルプス、富士山などが眺められ、西は八ヶ岳を間近に眺め、北に浅間の火山円錐を望んで眺望は雄大です。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
瑞牆山
かな
みずがきやま
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
山梨県北杜市
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

秩父山塊の西、金峯山の西北峯續きに聳え、秩父連峯は瑞牆山を西端に連ねて山勢衰へ、信州峠、橫尾山などを經て、八ケ嶽の裾野に連つて居る。

全山花崗岩から成り山腹は槪ね針葉樹林に蔽はれて蒼黑く、その閒に、花崗岩塊の奇哨が石筍の如く銳い岩甲を鎧ひ、山骨稜々として奇峯を成して居る。山麓一帶は濶葉樹林が茂り、この閒に釜瀨川及本谷川の溪流があり、秋期紅葉の美を以て聞えて居る。

登路は黑平及增富ラヂウム鑛泉からの二路があるが增富からが便利である。增富から山頂までは約一三粁、東へ本谷川を遡つて行く。本谷川は花崗岩と集塊岩の境界をなす地裂線である。本谷川二俣から北へ道を採り鑛泉から約七粁で金山に達する。金山は四戶の貧寒な里落で、附近には往時武田信玄の採掘したと傳ふる金坑の路がある。

金山から一、五一八米の小峠を越ゆると、一旦平地に出て、また急な登りとなり金峯登山道と分れて頂上に達する。花崗岩の奇峯は主に東南面に多く、鑢岩、子持岩、矢竹岩、辨慶力岩など各々名稱がある。

山頂からは東に秩父の連山を一眸に集め、南に茅ケ嶽山塊から遠く南アルプス、富士山などが眺められ、西は八ケ嶽を閒近に眺め、北に淺閒の火山圓錐を望んで眺望は雄大である。

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