大悲願寺

大悲願寺[眞言宗]
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

五日市鉄道武蔵増戸駅の西約1.5km、増戸村横沢、丘陵の麓にあります。鎌倉時代以後武家に崇敬された寺で、国宝に指定された阿弥陀如来、千手観音および勢至菩薩の諸像を安置しています。いずれも木造の坐像で漆箔を施し、修補のあと少なく、よく原形を保存しています。阿弥陀如来の坐像は高さ約90cm、両手を膝の上に按じ、弥陀の定印とは異なり、釈迦の定印を現しています。姿態面貌豊麗にして平安時代末期の特徴を残し、製作は優秀です。千手観音像はその手法は阿弥陀像とほとんど同一ですが、勢至菩薩の像はその面貌、衣文などに鎌倉時代の特徴を残しています。各その特徴に多少異なるところはありますがいずれも鎌倉初期の製作と思われます。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
大悲願寺
かな
だいひがんじ
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
東京都あきる野市横沢134
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

同武藏增戶驛の西約一粁半、增戶村橫澤、丘陵の麓にある。鐮倉時代以後武家に崇敬せられた寺で、國寶に指定された阿彌陀如來、千手觀音及勢至菩薩の諸像を安置して居る。何れも木造の坐像で漆箔を施し、修補のあと少く、よく原形を保存して居る。阿彌陀如來の坐像は高さ約九〇糎(二尺九寸五分)兩手を膝の上に按じ、彌陀の定印とは異り、釋迦の定印を現はして居る。姿態面貌豐麗にして平安時代末期の特徵を存し、製作優秀である。千手觀音像はその手法阿彌陀像と殆ど同一であるが、勢至菩薩の像はその面貌、衣文などに鐮倉時代の特徵を存して居る。各その特徵に多少異る所はあるが何れも鐮倉初期の製作と思はれる。

奥多摩のみどころ