日原鍾乳洞

日原の石灰洞
※現代の景観です。

昭和初期のガイド文

青梅鉄道御岳駅の西北24km、多摩川の支流日原川が石灰岩を貫いて流れるところの河岸に開口しています。途中は氷川から日原川に沿って進むと、とぼう岩、女夫滝、竜山渓などの渓谷美があり石灰岩の奇景が多いところです。洞口から匍行すること少しばかりで大裂罅に達します。この裂罅は北北東から南南西に走り、幅の狭い平行壁に囲まれています。北に進めば暫くで行き詰りとなりますが、南へ向かえば3つの室があります。この最大のものは80mに100mです。洞口から1.2kmで先は塞がり、洞道は曲り巡って元の道に出ます。大裂罅のほかに小裂罅が枝道となっているものが多くありますがたいていしばらくで行き詰まりになります。洞の床はほぼ水平で、階段状に高い絶壁が3か所あります。洞内には水溜りは少なく、洞壁には稀に鍾乳石が見られます。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

令和に見に行くなら

名称
日原鍾乳洞
かな
にっぱらしょうにゅうどう
種別
見所・観光
状態
現存し見学できる
住所
東京都西多摩郡奥多摩町日原
参照
参考サイト(外部リンク)

日本案内記原文

同御嶽驛の西北二四粁、多摩川の支流日原川が石灰岩を貫き流るゝ處の河岸に開口して居る。途中は氷川から日原川に沿うて進むと、とぼう岩、女夫瀧、龍山溪などの溪谷美があり石灰岩の奇景が多い。洞口より匍行すること少しばかりで大裂罅に達する。この裂罅は北北東より南南西に走り、幅狹き平行壁に圍まれて居る。北方に進めば暫くで行き詰りとなるが、南方へ向へば三つの室がある。この最大なるものは八〇米に一〇〇米である。洞口から一粁二で先は塞り、洞道は曲り廻はつて元の道に出る。大裂罅の外に小裂罅の枝出するものが多く存して居るが大抵暫らくで行き詰まりになる。洞の床はほゞ水平で、階段狀に高き絕壁が三箇處ある。洞內には水溜りは少く、洞壁には稀に鍾乳石が見られる。

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