大宝寺
昭和初期のガイド文
松山駅の西約1km、市内南江戸町、丘上景勝の地にあり、境内は桜が多く名木姥桜あり、花の季節には美観を呈します。
この寺は飛鳥時代の大宝年間(701~704年)に創建されたと伝わるこの地方の古寺で、現存の本堂は室町初期の再建です。
本堂[国宝] 三間四面、単層、屋根四注造、本瓦葺、棟低く廻縁をめぐらした素木造の落着いた建築で内部は総拭板敷にして前面一間通りを外陣となし、内陣は一段高く、奥壁に接して須弥壇があります。壇上には中央に本尊薬師如来の坐像を安置し、その左右両脇に国宝の弥陀と釈迦の坐像が安置されています。
阿弥陀如来坐像[国宝] 木造、高さ約102cm、面貌端厳、平安時代の素朴な作です。
釈迦如来坐像[国宝] 木造高さ約121cm、右手に説法の印を結び、左手を軽く膝の上に置いて掌を上にしている姿は薬師像かと思われます。姿態雄健、これも平安時代の作と思われますが胎内に江戸時代中期の正徳3年(1713年)再興の銘があります。
令和に見に行くなら
- 名称
- 大宝寺
- かな
- たいほうじ
- 種別
- 見所・観光
- 状態
- 現存し見学できる
- 住所
- 愛媛県松山市南江戸5-10-1
- 参照
- 参考サイト(外部リンク)
日本案内記原文
驛の西方約一粁、市內南江戶町、丘上景勝の地にあり、境內櫻樹多く名木姥櫻あり、花季美觀を呈する。
當寺は大寶年閒に創建されたと傳ふるこの地方の古寺で、現存の本堂は室町初期の再建である。
本堂[國寶] 三閒四面、單層、屋根四注造、本瓦葺、棟低く廻緣をめぐらした素木造の落着いた建築で內部は總拭板敷にして前面一閒通りを外陣となし、內陣は一段高く、奧壁に接して須彌壇がある。壇上には中央に本尊藥師如來の坐像を安置し、その左右兩脇に國寶の彌陀と釋迦の坐像が安置されて居る。
阿彌陀如來坐像[國寶] 木造、高さ約二尺七寸、面貌端嚴、平安時代の素朴な作である。
釋迦如來坐像[國寶] 木造高さ約三尺二寸、右手に說法の印を結び、左手を輕く膝の上に置いて掌を上にせるは藥師像かと思はれる。姿態雄健、これも平安時代の作と思はれるが胎內に正德三年再興の銘がある。