霞ヶ浦海軍航空隊
昭和初期のガイド文
土浦駅の東南4kmあまりの阿見村にあり、電車および自動車の便があります。荒川沖駅からは東4km、この間にも自動車が通います。この隊は大正11年（1922年）の設置で、日本の海軍唯一の航空教育機関で、飛行術、偵察術、整備術の航空教育および航空機、同用兵器などの研究をするほか、航空隊一般の任務をもち、水陸両種の飛行隊ならびに飛行船隊からなります。陸上飛行場は面積約1.67km²（50万坪）、その一隅にある飛行船格納庫は建坪1万5,800m²（4,750坪）、長さ240m、幅65m、高さ39m、庫内に丸ノ内ビル2個を包容してなおあまりあります。この格納庫は欧洲戦争の戦利品でもとドイツのユーデルボルグにあったものを解体輸送して現位置に再建したものです。
この隊に属する飛行船隊は日本の海軍唯一のもので、その保有する軟式飛行船は気嚢の容積3,500m³、発動機ベンツ130馬力2台を備え乗員5名、平時は大格納庫の一隅に繋留されています。
令和に見に行くなら
- 名称
- 霞ヶ浦海軍航空隊
- かな
- かすみがうらかいぐんこうくうたい
- 種別
見所・観光- 状態
- 現存しない
- 備考
- 戦後廃止されました。
日本案内記原文
驛の東南四粁餘の阿見村にあり、電車及自動車の便がある。荒川沖驛からは東方四粁、この閒にも自動車が通ふ。この隊は大正十一年の設置で、わが國海軍唯一の航空敎育機關で、飛行術、偵察術、整備術の航空敎育及航空機、同用兵器などの硏究をなす外、航空隊一般の任務を有し、水陸兩種の飛行隊竝に飛行船隊より成る。陸上飛行場は面積約一六、七〇〇アール（五十萬坪）、その一隅にある飛行船格納庫は建坪一五八アール（四、七五〇坪）長さ二四〇米、幅六五米、高さ三九米、庫內に丸ノ內ビルデイング二個を包容して尙餘がある。この格納庫は歐洲戰爭の戰利品でもとドイツのユーデルボルグにあつたものを解體輸送して現位置に再建したものである。
この隊に屬する飛行船隊はわが海軍唯一のもので、その有する軟式飛行船は氣嚢の容積三、五〇〇立方米、發動機ベンツ一三〇馬力二臺を備へ乘員五名、平時は大格納庫の一隅に繋留されて居る。