横浜・鎌倉

よこはま・かまくら・ふじさわ

横浜・鎌倉のエリア一覧

横浜・鎌倉ガイド

東京駅を出て高架線で西南に向かえば右には多くのビルが見え、はるか遠くに宮城の森林や新築中の議院を眺め新橋に着きます。これからまもなく平地線に移り、右に愛宕山ラジオ放送局の高塔、芝公園の増上寺本堂、五重塔を見、左に浜離宮の森、瓦斯タンクなどを眺め、芝浦埋立地の先に繋留する多くの汽船、品川湾内の旧砲台などを望み、多くの線路が平行する品川に着きます。

品川から国道の道路橋を潜って、右に山手線と分かれ、ようやく郊外の工業地帯に出て、大井町に着きます。ここから目黒蒲田電車線の支線が右に分かれます。右の住宅地のなかに大森貝塚の遺跡があるあたりを眺め、大森を過ぎ、左方はるかに瓦斯タンクを望み、蒲田に着きます。ここから右に池上電車線と目黒蒲田電車線が分かれます、駅から出るとやがて六郷川の鉄橋(延長550m)にかかります。左には京浜電車や国道の橋梁が並び、右には遠く富士の秀峰や赤石山脈の高峰が望めます。橋を渡って神奈川県に入り線路の右に接する明治製菓、東京電気の工場を見て川崎に着きます。ここから南部鉄道線は右方に分かれています。駅を過ぎると右に近く鉄道省の変電所、遠く東京電灯会社の変電所を望み、左には川崎市の工場の煙突を眺め、大崎から来る貨物線によって乗り越され、鶴見に着きます。駅の前後右方には丘陵の上に曹洞宗の大本山総持寺が樹林の間から見えます。駅を出て右に花月園を望み横浜線に乗り越され、横浜の市街に入り八王子に到る横浜線が分かれる東神奈川に至れば、左に横浜港内に大小の汽船が眺められます。やがて道路橋を潜り横浜に着きます。

横浜を出て西南に向かい、右に神中鉄道の起点西横浜駅を見、程ヶ谷を過ぎ丘陵の間に入り、トンネルを抜けて左に東海道の松並木を見、戸塚に着きます。ここから南に向かえば右側車窓に柏尾川堤防の桜並木が長く連なり、春には目に映えるところです。このあたりから先遠く富士山を望むことができます。大船に至れば横須賀線が左方に分かれます。

大船を出て西南に向い右側に近く農事試験場の芍薬園を望み、西に折れて藤沢に到着、小田原急行電車線の江ノ島線はここで交叉しています。

藤沢を出て西に向かって辻堂を過ぎ、左側に砂丘上の松林を望み茅ヶ崎に至れば相模鉄道は右に分かれます。ここから相模川(馬入川)にかかります。右方に街道の馬入橋や大山を望み、左に相模湾の海上に大島の三原山の噴煙を眺め、平塚に着きます。駅を過ぎると左に桃畑や紡績工場を見、花水橋を渡り、右の方に緑濃い高麗山を仰ぎ、街道の松並木を横ぎり、大磯に至ります。ここは右に山を負って左は海に臨み、湘南の保養地として最初に発達したところです。

大磯から海岸の狭い平野を西進して二宮に至れば右に変電所が見え、秦野に至る湘南軌道が右方に分かれています。この方面からの大山登山者はこの鉄道を利用します。次に国府津に着くと熱海線は左方に分かれます。東海道本線の列車は東京からここまで電気機関車によって牽引されます。

※底本:『日本案内記 関東篇(初版)』昭和5年(1930年)発行

関東のエリア